"【文房具を語る】"カテゴリーの記事一覧
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昭和の終わり頃から平成初期の話です。
大学時代、もっとも通った文房具店がお茶の水にありました。
記憶が確かなら、その名は「御茶ノ水コピーセンター」だったはず。
今はサイゼリヤになっています。
中に入ると、壁の形に名残があります。
レジとキッチンになっている奥の場所は、以前はカウンターになっていて大型コピー機がずらりと並んでいた位置です。
コピーセンターという名前でしたけど、ただコピー機があって学生が勝手に使うタイプではなく、データ出力センターのような作りでコピーを取ってもらう仕組みだったような記憶があります。
小生はここにコピーをしに来たのではなく、入り口からぎっしり並んでいた文房具を求めてやってきていた客なので、実はここでコピーを取ったことはないのです。
そして、ここで買ったとはっきり憶えている文房具が、まだ部屋の棚に刺さったままになっています。
PLUSのラブロです。
A4判4穴、ボディはベルトで固定され、金具は剥き出しという野心的デザインのバインダーです。
チームデミから一気に「文房具界のトレンディスター」となったPLUSは、1980年代後半から1990年代にかけて、実に個性的なデザインの文房具を多数、世に送り出しました。
それがまあ今では樹脂の劣化も激しく。
こういうデザイン文具を四半世紀以上使い続けるとは、バブル時代の日本人は思いも寄らなかったのかもしれません。
開けてみると、クリアファイルに吃驚するようなものが入っておりました。
当時の同人誌の原稿です。
奥付に「平成5年(1993年)8月16日 第一刷発行」と書かれています。
藤田和日郎先生の『うしおととら』ファンブック『青鳥軒2』ですね。
小学館スーパークエスト文庫で『うしおととら』小説版が発売になり、それを当時の小生が作者(城池勝幸=中山文十郎先生)にインタビューしたのです。
懐かしすぎます。
こういうものがさらッと出てくるのがまた恐ろしいですね。
ラブロの発売が1991年。たぶん入手もその年か、遅くとも翌年でしょう。
タイミングは合っています。
きっと、気に入っていたんだと思います。ラブロが。
再生紙のコピー用紙に4穴あけて挟んであるのですが、A4縦4段組の文字スケールが印刷されている紙は今にも枯れ葉のように砕け散るのではないかと思うほどに茶っけております。
バブルをいっしょに越えてきたラブロを使うことは、もうないかもしれません。
4穴開けるの面倒ですし。
でも、それでもなお、捨てるには惜しい想い出が詰まった製品です。
あの時代の匂い。
サイゼリヤにもあった、あの時代の匂い。
日本で一番落ち着くサイゼリヤを見つけました。次はラブロを抱えて行ってみようかと思っています。 -
何でも浜松市にある高級筆記具専門店ブングボックスの2号店が表参道にできたということで、散歩がてらお伺いして参りました。
文房具カフェとは目と鼻の先です。とんかつまい泉の角を素通りすると文房具カフェ、左に入るとブングボックス。そんなイメージでしょうか。
店長さんが浜松と表参道の店を行き来するということで、表参道店は不定期の開業になるようです。
というわけで、鉄の扉を開けて店内へ。
正面にカウンター、右手にインクと万年筆の陳列棚。
窓際には席があり、オリジナルインクの試し書きができます。
エルバンの透明軸万年筆にはインクの名前が貼り出してあります。
棚の一つ目は蓋の開いたインク瓶です。気に入ったインクがあったら、棚から自分で取り出して中味を確認することもできます。
ひとしきり悩んだあげく、これを購入してきました。
納富さんが絶賛されていたツイスビーECOの透明軸と、オリジナルインクは【浜名湖のフレッシュみかん】を。
ツイスビーECOは回転式吸入機構を内蔵した白ペンの万年筆です。
予想通りに硬い書き味で、これはこれで悩まずがしがし使えそうな感じです。
インク瓶をいちどひっくり返し、その後戻して蓋を開けます。
こうすることで内部のインクリザーバに一回分のインクを溜め、吸入しやすい状態にします。
【浜名湖のフレッシュみかん】は綺麗な蜜柑色で、たぶん写真では伝わらないと思うのですが、実に美味しそうな色合いになっています。まさに蜜柑、それも甘くて美味しい三ヶ日みかんの色です。
ここまで美味そうな色合いだとは思わなかったのですが、書いてみて納得です。
この組み合わせで、気兼ねなくがしがし使って行こうかと思います。
この冬は蜜柑色で行こう! -
さて。
新しいpuoバインダを入手し、持ち歩いて使用した数日。
出た結論が、
「厚い」
「ジブン手帳と重ねて持つには持ちにくい」
「ルーズリーフをたくさん入れておくことは(恐らく)ない」
「もっと軽量化したい」
でした。
まあ、確かに測量野帳やLUFTを併用している身としては、この新しいpuoバインダーでも厚いし持ちにくいのは事実でして。
すみませんマルマンさん。
やっぱりこっちで行きます。
キングジムのテフレーヌ《リングノートタイプ》の端を切りそろえて、と。
これで超薄型puoシステムの完成です。
現在ルーズリーフは20枚(未記入)+1枚(記入済)、インデックス5枚、ポケットリーフとA4用紙3つ折りガイドが入っていますが、本当に薄いです。
リングが手に触れないので装着したままで左ページが書ける、裏側に表紙を折り込んで小さくして書けるという、テフレーヌ自体の性能もフルに発揮できます。
ジブン手帳と重ねて持ち運んでも、まったく遜色ありません。
これなら片手で2冊をがしっと持って運ぶことができます。
全く新しいタイプのノートに生まれ変わったpuoテフレーヌ。
こういうことを勝手にできるのもまた文房具の醍醐味です。
A4用紙を三つ折りすれば何でも放り込んでおけるのも強みですね。
これなら永く愛用できそうです。
また一歩、理想に近づいた! -
何度目の出戻りでしょうか。
またマルマンのpuoを使い始めています。
実に絶妙なサイズです。
手帳より大きく、ノートより小さい。
用紙の縦幅は210ミリ、A5サイズ。
用紙の横幅は110ミリ、A5(148ミリ)よりスリムです。
そして軽量で持ち運びやすく、A4サイズの用紙を3つ折りにして持ち運べるサイズのバインダー。
「軽量こそ生命」の小生には、これ以上のファイルバインダーシステムは今のところ思いつきません。
現在のメインは3ミリ方眼用紙です。
この方眼が使われているルーズリーフは、他でお目にかかったことがありません。
用紙はマルマン自慢のMPS800。一般のルーズリーフや、リングノートに革命を起こしたニーモシネと同じ紙です。悪いはずもありません。
他にも無地、7ミリ罫、5ミリ方眼ルーズリーフをセットしてあります。
バインダー金具はA5サイズ20穴。B5サイズ26穴やA4サイズ30穴と共通ピッチですから、自宅の母艦がpuoサイズである必要はありません。
バインダー式のメリットは、好きなものを挟み込んでおけること。
いまは実験的に、内側にペンホルダーリーフを自作して装着しています。
これを作るために、以前買ったA5用パンチを探したのですがどうしても発見できず……仕方なくもう一台購入するハメに。
でもきっとすぐ前のが出てくるんでしょうね。しくしく。
併せて、ジブン手帳のジョッター《アイギス》も復活させました。こちらには3ミリ方眼、無地、7ミリ罫を一枚ずつセットしてあります。
バインダー式のメリットは、こうして用紙を分離して持ち歩き、記入後に母艦たるバインダーに綴じ、必要があればスキャンして破棄が簡単に行えることです。
さて。
今度はうまく活用できますかね。
楽しんで使っていきたいと思います。 -
カラフルっていいですよね。
シャープペンシルでもカラー芯が豊富になってきました。
しかも、綺麗に消すことができます。
今回は11月16日に発売になった、三菱鉛筆のユニナノダイヤカラー芯の0.5ミリを試してみました。
とはいえ、各色の書き比べやインプレッションをするわけではありません。
カラー芯を「何に使うか」で、ひとにより感じ方がまったく異なると思われるからです。
勉強で使うことを想定すれば、赤で教科書や参考書に細かく書き込み、不要になったら消す方法が思いつきます。アンダーラインの色を変えることもいいですね。ピンクやオレンジなら赤い半透明シートをかぶせることで文字が見えなくなりますので、暗記や穴あき設問の解答を隠す方法も想定できます。
仕事で使う場合、例えばミントブルーはコピーに写らないなどの効果が期待できます。下書きに使い、消しゴムで消せるメリットもあります。
でも。
小生はそういう「便利な使い方」ではなくて、「シャープペンシルで字を書き絵を描くことのできる色はどれか」という、まったく個人的な好みでこの製品を見ています。
カラー芯はいわゆる普通の芯とは異なり、紙面を滑るような書き味を持っています。
芯が折れないように力を抜いて書くと、かなり描線が淡くなってしまうのです。
この「淡く」というのが曲者で……。
若い方には判らないと思いますが、年齢を経ると細かな描線や薄い色、反射する色がだんだん見づらくなってきます。
「色を塗る」なら、この濃淡はむしろ能力のひとつです。
でも、「書いた字や線がはっきり見える」という意味では、淡くていいことはありません。
単に視認性という意味では、ミントブルーは明るすぎて描線がはっきり見えません。
ピンクも薄いです。力を抜くと紙面をつるつる滑っていきます。
グリーンは力を入れるとそれなりに濃くなりますが、抜くと薄くてよく見えません。
ブルーは、期待していたような明るさがありません。くすんだ色合いで、青というよりは藍色です。視認性はいいのですが、愛して止まない色ではありませんでした。
レッドは不思議なことに、硬く感じました。他の芯より硬いのです。もちろん主観的な問題で、計測機器を用いて何かを測った結果ではありません。それでも、レッドは書き味が硬くて好きになれませんでした。
オレンジは描線にもアンダーラインにも使用できて、かなり重宝する存在でした。ただ、オレンジだけで絵を描いたら明るすぎて目がちらくらしましたが。
結果、ラベンダーが気に入りました。
これは書いていて気持ちのいい色です。濃くて、はっきり見えて、上滑りしない。力を込めなくてもきっちり濃いのです。
何となくいい匂いもしそうですし(錯覚です)。
何が言いたいのかというと、皆様にこのカラー芯を、色の具合を試してもらいたいのです。
そして、いろいろ感じ、また想像して欲しいのです。
シャープペンシルで書く、ということの意味を。
細い線が書けて、消しゴムで消せるとは一体どういうことなのか、と。
自分の中で「カラーの文字を、線を消せる」ということは一体どういう意味を占めているのか、ということを。
どの色が気に入るかは、書いてみないと判らないと思います。
そんな時にはこのミックスというパッケージの存在がたいへん嬉しいです。
あと、この芯は「多色・多機能ペンに入れるな」と但し書きがあります。
カラー芯は衝撃に弱く折れやすいのかもしれません。多色・多機能ペンのシャープユニットはバネで強く戻る機種が多く存在しますし、プラスチックパイプの芯タンクを持っているタイプだとユニットを押し出したときにペンの内部で芯タンクが曲げられ歪み、芯を側面から圧迫することが想定されます。
スタイルフィット5色タイプに5本のシャープユニットを入れて「5色シャープペン」を作りたいところですが、やめておいたほうが無難ですねきっと。