たこぶろぐ

ブンボーグA(エース)他故壁氏が、文房具を中心に雑多な趣味を曖昧に語る適当なBlogです。

セーラー万年筆の新製品・TUZU万年筆とは何か
セーラー万年筆から、久々の新製品が登場しました。

万年筆で新型ってどのくらいぶりでしょうかね。各メーカーともなかなか新製品って難しい時代ではありますけど、セーラー万年筆は新工場も絶賛稼働中ですし、今回はデザインも機構も新機軸で来ましたね。ファンとしては嬉しい限りです。

ブランド名は【TUZU】。「ツヅ」と読みます。
「綴る(つづる)」から来ているネーミングですね。
ロゴマークだと「TUZU-」と最後にハイフン的な棒があるのですが、ホームページなどでの文面記載は「TUZU」。どっちが正しいんでしょうかね。ここではホームページの文面表記に従って「TUZU」で行きましょうか。

ロフト池袋にはまだ高級筆記具コーナーが生き残っていて(もうすぐなくなるんでしたっけ?)、TUZU万年筆はロフトの筆記具棚ではなく高級筆記具コーナーに什器で置かれていました。
ここで買うとちょっと特別感がありますね。
せっかくなので、セーラー万年筆のショッパー(別売り55円税込)もつけてもらいました。



綺麗ですよねー。
で、TUZU自体もギフトを重視した展開なので、またパッケージが美しくて。



そしてこの中に、さらに本体パッケージ(紙)、使用説明書、フォレステーショナリープロジェクト認定証、スペアカートリッジが入っています。スペアカートリッジは黒が2本。写真にはありませんが、ギフトパッケージから取り出し忘れですね。



今回は限定色であるレッドを購入しました。



TUZU万年筆は別名「アジャスト万年筆」。本体定価4,950円(税込)。
本体色はグリーン、ブラック、グレーと、新製品時点での限定色であるクリアネイビーとレッド。
白ペンの製品には珍しく、F(細字)、M(中字)、B(太字)が選べます。
今回はあえてBを選択。これはわたしが積極的に本製品のアジャスト機能を使ってみたかったからです。

万年筆のペン先は、紙に正しく当たらないとインクがうまく載らず字が書きづらくなることがあります。
特にペン先が太字になると、先端についている金属球(ペンポイントと言います)の中央に走っている切り割りが紙に当たっていないとインクが紙に伝わっていかなくなるんですよね。
ただ、人間にはみな癖があって、ペンポイントの中央を常に正しく紙に当てられるとは限らない。



こう握って紙に当てますよね。



まっすぐ当たれば綺麗にインクは紙に流れますけど、これが僅かに右だったり左だったりに捻られてしまうと、最初の一筆めでインクが切れてしまうことがあります。
これを専門用語で「タッチ切れ」と言います。
ペンポイントが大きな太字は、このタッチ切れが起きやすくなります。

タッチ切れを解消するためには、みっつの方法があります。
ひとつは、握り癖を意識して捻りを矯正すること。
もうひとつは、ペンポイントを捻りに合わせて削ってしまうこと。
そして最後のひとつは、ペン先の角度を変えることのできる万年筆を用意し、自分に合った角度に調整してから使用すること。

その「角度を変えることができる」が「アジャスト」なのです。
TUZU万年筆は、タッチ切れを解消できる万年筆です。



グリップにエルゴノミクス的なふたつの平面が彫ってあり、握りのガイドがあるタイプですね。



胴軸を外し、グリップの下方にある金属リングを緩めて下さい。
これによってグリップが回転できるようになります。
ペン先方向からリング方向にグリップを下げて、必要な位置に回転させます。約10度ごとに溝が掘ってあるので、ただ回転するのではなく、戻した時かちっと填まるような位置合わせができます。

ペン先が回転すると言えば、パーカー75を思い出しますよね。



やっぱりタッチ切れを解消できるペン先回転性能を有した万年筆なのですが。



これって、交換可能なニブ(ペン先とペン芯に刺さる部分のユニット)をもともと用意している万年筆なので、簡単に言うとこれが自由な位置に挿せるんですよね。



だから、TUZU万年筆みたいに「10度でクリック感があってセット後は動かない」っていう精度はないのです。
もちろんパーカー75の方法でもぜんぜん問題はないのですが(パーカー75も持ち位置を指の形に凹ませた樹脂グリップを持っています。ここの素材があんまり良くなくて経年劣化で割れた、みたいなレヴューを見たことがあります)、TUZU万年筆の方式はより細やかで実用に際し配慮した方法じゃないかなあ、と思ったりもします。



というわけで、書いてみないとやっぱり捻り角度がどうとか実感が沸かないので、今回は本体色に合わせ、川崎文具店の「月華紅蘭」を喫わせます。
本製品は最初からコンバータが装着されていますから、作業がスムースでいいですよね。



TUZU万年筆はハート穴までペン先を浸ければインクを吸入できる機構があります。これはパイロットがカスタム万年筆に実装しているチップフィルとも、プラチナ万年筆がプロシオンで実装している「インクが吸入しやすい新ペン芯」とも違うような気がします。今回はバラすところまではやっておりません。



わたしは右に捻る癖があるので、左に10度でセットです。これで解消ですね。
もし万年筆でも太字がお好みで、試筆してみたときにどうもインクが紙に載らないなあ、なんて経験をお持ちの方に、ぜひ一度お試しいただきたい万年筆です。

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