"【文房具を語る】"カテゴリーの記事一覧
-
東京都品川区東大井五丁目。
イベント開始から30分後の、午前10時半。
目測が甘かったようです。
外まで人が溢れています。
ここはどこでしょう。
そう、三菱鉛筆の旧本社です。
三年後の立て替えを前に、四月末日をもって移転が完了した旧社屋。
ここを、取り壊し前に解放しようというイベントが開催されていたのです。
「わくわく楽描きイベント!!」と題されたこの会は、旧本社一階部分を解放し、子供たち(3歳から15歳まで)に思いっきり壁や床や窓に落書きをしてもらおう! という太っ腹な企画です。
小生に取ってみれば、旧本社とはいえ、三菱鉛筆の敷地に入ることのできる絶好のチャンスです。
10時に間に合うように来れば良かったですね。
見事に入場制限です。
ようやく敷地内に入りましたが、まだ道程は遠いようです。
工事現場の自動販売機から飲み物を買ってダイノジ(小学4年生)に与えつつ、牛歩の中でひたすら待ちます。
その工事現場にあった書類と筆記具。
さすが、パワータンクです。
外待ち80分でようやく建物内に入ることができました。
さあ、落書きタイムです!
まずは待機小部屋みたいな落書きルームへ。
ダイノジは張り切って壁に「DEATH」って書いてます。
床だって描き放題です。
基本の筆記具はポスカですね。ポンキーペンシルも置いてあったのですが、大きく落書きするならやっぱり太字や極太のポスカがいいようです。
受付に呼ばれ、その後はメイン会場であるロビーで大落書き大会です。
この時点で11時50分。
すでに先客の落書きでいっぱいです。
「すいませんが、制限時間10分でお願いします!」
コールがかかり、子供たちがいっせいにポスカに群がります。
個人的に気に入ったのが、ローパーテーションで仕切られた打ち合わせコーナー。
さすが親子、と言ったところでしょうか。
ダイノジもこの閉鎖空間が気に入ったようで、床にせっせとDeadmau5を描き始めました。
小生もこの枠辺りにちまちまと落書きをしていたのですが、「あと5分!」の声がかかったあたりで大きく描きたい欲求を抑えられなくなりましたよ。
紙ではない場所に思いっきりポスカ極太を走らせるこの快感!
ふだんのちまちました筆記生活とは全く異なる、実に野生解放な瞬間です。
まずは、ロビー左側の壁面にドロカッパ。
受付正面にクロダコ。
中央の柱に自画像。
窓の上に大並真一郎(写真では見切れてますね)。
と、ここでタイムアップです。
受付に戻り、子供たちは記念品をもらう列に並びます。
記念品はアディダスえんぴつでした。
大事に使おうね、ダイノジ!
こんな顔で写ってますけど、楽しかったと本人も言っておりました。
小生の我が儘で文房具関連のイベントに連れ回し、ダイノジも辟易というパターンがなかったとは言いませんが、今回は心から楽しんでくれたようで胸をなで下ろしております。
親子揃って二度とない経験ができて、満足まんぞく! -
2016年4月21日に発売された、株式会社LIFE久々の新製品、マージンノート。
現物を見たい見たいと思いながらも、なかなか普段の巡回コースに製品が入荷されない時期が続きまして。
で、Twitterで「確実に売っていると宣言している、行動範囲内で行くことの出来るお店」を探しておりました。
というか、LIFE製品ならここだろう、というお店への入荷を待っていた、と言うべきでしょうか。
御徒町GOAT。
MADE IN JAPANの文房具を中心にセレクトされた商品が並ぶ文房具店なのですが、その実態はLIFEのノート「NOBLE NOTE」や「KAPPAN NOTE」、カンミ堂の手帳「10min.(テン・ミニッツ)」などのデザインを手がけられているSALCO DESIGNの事務所です。
そう、ここなら必ずマージンノートがあるはず!
というわけで、普段は巡回コースにない御徒町へと向かったのでした。
ありました。Twitterでの宣言通り、3種類のマージンノートがお出迎えです。
サイズはB5判とA5判がありますが、小生は普段使いの大きさであるA5判を購入です。
各ページに赤いマージンラインが引かれています。
ラインの位置は、左端から34mm。
「左端を綺麗に文字詰めしてきっちりと文字を書き込みたい病」の小生には、このマージンラインが実に頼もしく見えます。
用紙はLIFEの特別抄造紙Lライティングペーパーのホワイト。眩しい、という白ではありません。落ち着いた、万年筆での使用にもまったく問題のない上質な用紙です。
これは5mm方眼。
これが6mm横罫。
これが、話題の無地。
「無地なのにマージンラインが引いてある」──この徹底ぶりが実にLIFEらしい、そんな気がしますよね。
80枚綴りですが、20枚綴りのノートを4冊かがる形式で、完全にフラットになるわけではありませんが使い勝手は上々です。
個人的には薄いノートが好きなので、この20枚綴りの薄いマージンノートが出ないかなあ、などと夢想しております。
ノートはいま、「価格」「紙質」「機能」で語られる時代になりました。
安ければいいわけではない。
ただ高級であればいいわけではない。
使う人が使うシーンを脳裏に描きやすい製品が受ける、というのも事実でしょう。
マージンノートで驚いたのは、マージンという「機能」を謳っているように見えながら、実はその「機能」をどう「機能させるか」はユーザーに委ねている、という点です。
中でも無地のマージンノートは、無限の可能性があると思います。これをいかに「機能させるか」──ちょっとした頭の体操に挑戦する気分です。
これもまた、文房具を使うことの醍醐味だと思います。さあ、どう戦うかな? -
というわけで、飛来した新型nu boardをさっそく使ってみました。
製品名は「nu board JABARAN(ヌーボード ジャバラン)」。
このように、ダブルサイズのA4判クリアホルダにセットされています。
左ポケットは空っぽです。
右ポケットに本体であるnu board JABARANが入っております。
上部にホワイトボードマーカー(パイロットのボードマスターS)が取りつけられていますが、ペンホルダーはマスキングテープで仮留めされているだけなので、好きな部分につけ替えることが可能になっています。
出してみました。
正A4寸(297mm×210mm)よりわずかに小さいです(287mm×203mm)。
その紙製のボードが、このように4つに折りたたんだ状態になっています。
ジャバランの名の所以ですね。
横長に記入内容を展開していく、あるいはテーマごとに4つを分けて俯瞰、のような使い方もできますね。
つなぎ目は単純に折り曲げてあるだけですが、ここへの記入は避けた方がいいと思います。
つなぎ目には紙製ボードの撥水加工(ホワイトボード機能)が施されていませんので、書いたら消えなくなります。
収納状態で表面に出ているボードには、5mm方眼印刷が施されています。
自分がノート感覚で何かを記入する場合や、ちょっとした図表を書きたいと思ったときにはこのガイドが役立ちます。
集団でわいわいミーティングしたり、あるいは自分で使う場合でも自由に発想したい場合は、裏面の無地ボードがいいかもしれません。
4つに折る方向は決まっていますので(必ず5mm方眼のボードが表面に出ます)しまうときに書き込んだ図表を保護したい、あるいはホルダーに入れるとはいえ書いた面を不用意に晒したくない場合は、無地ボードに記入しましょう。
ホルダーの左ポケットは空いていますから、資料などを挟んでおくのに便利です。ボード本体は正A4寸より小さいですが、ホルダーそのものははA4サイズに対応しています。
個人的に気に入っているのは、過去あったリングバインダー式のnu boardより圧倒的に軽くなったこと、ホルダーの自由度が高いこと。
nu board JABARANを2枚使って平行に置いたりすると、ミーティング時にも広く使えていいかもしれません。
ポケットは2つありますから、ボード本体が2枚になってもホルダーでの収納はひとつで済みます。マチの関係で閉じたらキツキツになるかもしれませんが。
縦長直列4枚ではなく、1枚でA4→A3→A2への変形版も欲しいですね。
縦に長い、横に長いよりも、さらに発想を拡げることができそうな気がします。
ただそうなると、折り目が難しいですか。
アイデア出し、ミーティング用だけでなく、店舗などでの簡易ディスプレイなどでも活躍しそうな製品です。
以前購入したnu boardがだいぶくたびれて来ましたので、主役交代といきましょうか。 -
別に偉そうなことを言うつもりはないのです。
ただ、鉛筆が好きで、それを持ち歩いて使うためにはやっぱり消しゴムが必要で、それもちゃんと消えるお気に入りに消しゴムを持ち歩きたくて、さらに言えば鉛筆削りだってしっかり気持ちよく削れて削りかすがこぼれないものをひとまとめにしたくて。
そんな筆箱を探していました。
筆箱に入れたいものは、
・キミック(鉛筆補助軸)
・アーチ(消しゴム)
・2枚刃(鉛筆削り)
の3点です。
鉛筆は新品状態では長いもので、これを収納できる筆箱はその段階で選択肢を減らしてしまうものですが、短くなった鉛筆を補助軸であるキミックで持ち歩く小生のスタイルなら全長問題は発生しません。
ただ、四角い消しゴムと、カスの零れない鉛筆削り──この二つは鉛筆と異なり、立体物です。
ある程度の直径を持つ筆箱でないと収納ができません。
軽量でコンパクトな状態の筆箱を夢想していました。
そして可能であるならば、その筆箱は革製であって欲しい。
持ち歩いて愛着の湧くものであって欲しい。
もうひとつ、形状についての希望がありました。
分厚くないもの、手に馴染むスリムさのあるもの、そして何より立つ機能があるもの。
条件が増えました。
そこまで言うなら、ゼロから作るもの手でしょう。
でも小生は、まずはそんな小生の勝手な理想をカバーできる既製品がないかどうかを探す旅に出ました。
作るのも好きですが、探すのも好きなのです。
巡り会うこと自体に興味があるのです。
結果として、インターネットの偉大さを痛感することになります。
Twitterで繋がっている知人から、快い申し出がありました。
現在休眠中の革製ペンケースがあるので、それを譲って下さると。
土屋鞄製造所の、現在では販売が終了したドラムペンケースです。
上部に蓋があり、筒型のボディにペンを収納します。
ですが、この形では困るのです。
筒型では、消しゴムや鉛筆削りが胴内に沈み込んでしまって、すぐに取り出すことができません。
サイドジップがハラキリになって、筒が「開き」になるなら別ですが……短いサイドジップがありますね……このサイドジップは何でしょう……。
実は。
サイドジップは本体内に抜けておらず、ポケットとして機能していました。
ここに消しゴムを入れることで、筒型の本体に消しゴムが沈み込んでしまうことはなくなります。
そして開けた蓋の内側が、よもやの鉛筆削りの定位置に!
内部にペン(補助軸の他に万年筆やボールペン)やペン形状の文房具(ハサミやふせん)を入れることで鉛筆削りは胴内に落ち込まず、結果として蓋を開けると素直に蓋の裏に鉛筆削りが残るようになりました。
偶然の産物とはいえ、ここまで気持ちよく納まるとは!
これひとつ持ち出せば、日常の生活に困ることはありません。
ほぼパーフェクト筆箱が完成してしまったのです。
あとは愛着を持って常に携行し、活躍の場を与えるだけです。
本当に嬉しい出会いでした。
お譲り頂いたTさんには本当に感謝致します。ありがとうございました。 -
代々木八幡駅って初めて降りました。
小生の小田急線の印象は、地べたを這いずり、いつまで経っても狭くて工事中。
それは30年前、初めて東京で大学受験をしたときに連泊したのが代々木の国立オリンピック記念青少年総合センターだったからであり(最寄駅:小田急線参宮橋駅)、25年前に下北沢(最寄駅:小田急線下北沢駅および京王井の頭線下北沢駅)に住んでいたからでもあります。
それから引っ越しを重ね、小田急線とは疎遠になりました。
つまり、今の新しくなった小田急線を知らないのです。
四半世紀前の小田急の、ごく一部の路線しか知らないのです。
でも、今日降り立った代々木八幡駅は、知らない駅なのに小生の小田急のイメージそのものでした。
そこから徒歩で3分ほどのところに、今日の目的地「HININE NOTE」はあります。
表紙、中の用紙、とじ具、ゴムや丸タックといったカスタムパーツに至るまで、自分の好みで選んでノートを作ることができるお店です。
お店の方が親切に説明をしてくださいました。
とにかく紙の種類が豊富です。
目移りしてしまいます。
表紙の紙見本は綴じられた状態のリングノートになっていて見やすいです。
中紙はリングメモになっており、自由にペンで書き込むことができます。
リング綴じの場合のリング見本、背貼り綴じの場合のクロス見本もカラーバリエーションが豊富で、実際に手にとって確認することが出来ます。
ガラス張りの店内は決して広い空間ではありません。その中に、女性やカップルのお客様がひしめき、見本を品定めされています。
表紙のバリエーションもそうですが、中紙も種類が豊富で、それぞれ無地・罫線・方眼が用意されています。筆記用紙以外にもカレンダーや封筒が用意され、これらをいっしょに綴じ込むお客様が多かったように感じました。
実際の作業は店内で行われますが、混雑していると2時間ほど待つこともあるようです。お客様には必ずご来店頂き、実際に手にとってその目で確かめた組み合わせでノートを作ってもらっていますが、仕上がったノートを郵送するサービスはあるそうです。待ちきれないとか、ほかに用事があるとか、様々な都合がありますもんね。
作成できるノートのサイズはB5かB6。
綴じはリングか背貼り。
通常は18枚から20枚の用紙を1折として3〜4折の用紙を綴じるケースが推奨されていますが、小生は薄いノートが欲しかったので、1折で背貼り製本をしてもらいました。
実は1折りでの製本は過去経験がなく、まずは実験で可能かどうかを試してもらってから作成に入って下さいました。
わがままなお願いにも関わらず、「チャレンジは大好きですから」と仰っていただき本当に恐縮です。
というわけで、実験も無事成功しましたので、B6判横長綴じを2種類作成していただきました。
1)表紙:ファーストビンテージ ターコイズ
テープ:ネイビー
中紙:しらおい 5ミリ方眼
2)表紙:ファーストビンテージ スカーレット
テープ:エンジ
中紙:OKライトクリーム 5ミリ方眼
中紙は、いずれも試し書きで万年筆のインキが滲まず抜けないことを確認してからお願いをしました。
表紙用のファーストビンテージがB6サイズで1枚150円。
製本テープ(製本代金含む)が200円。
中紙は1折り(厚さにより18枚〜20枚)180円。
ですので、上記の場合──
表紙:150×2=300円
テープ:200円
中紙:180円
で、合計680円(税抜)になります。
B5判ですと、もう少し高くなります。
当然のように、市販されている文房具店の店頭に並ぶノートよりは割高になります。
ただ、自分で選んだ表紙のカラー、自分で選んだ中紙、そして何より自分で選んだ薄さになったことで、このノートに格段の愛着が湧いたのもまた事実です。
店員の皆様も実にフレンドリーで、いろいろなお話を聞かせて頂きました。
いまノートを作ると、端材で作った非売品の「ふぞろいメモ」がもらえるのもユニークです。
何より、凝ったカスタマイズが1冊からできるのですから、贈り物に最適ではないでしょうか。
代々木八幡駅は現在、橋上駅に生まれ変わるべく工事中です。あの、小生が勝手に思い込んでいる「(小生の)小田急線のイメージ」が消えてなくなる前に、またお伺いしたいと思っております。