"【文房具を語る】"カテゴリーの記事一覧
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息子ダイノジ(8)といっしょに、田園都市線に揺られてのんびり都内脱出の旅。
小雨降る中、辿り着いたのはここです。
小生にとっては全く初めての場所。
神奈川県横浜市都筑区、港北TOKYU S.C.です。
神奈川県は横浜市内であったとしても海沿いしか知らないので、まったく勝手が判りません。
ここの4階に用事がありました。
出来たばかりのインク港北S.C.店です。
インクと言えば、静岡県東部に大型店2店舗を持つ、個性的な文房具店です。
そこが関東圏初出店ということで、わくわくが止まらない小生です。
今年8月に、初めてインクの大型店を訪れました。
インク清水町卸団地店。
インク富士店。
どちらも個性的で、文房具マニアも唸らせ、そして何より地元の方々に愛されているお店でした。
なら、大型店舗ではない、ショッピングセンターの中にあるインクとは、いったいどんなお店なのか?
さっそく入ってみましょう。
清水町卸団地店のような倉庫スタイルでもなく、富士店のような開放型超大型店とも違う、ごくごく常識的な店内──に見えますが、インクらしい個性はまったく失っていません。
レジ横には替芯タワー。これがすでにこの店の本気度を現しています(オートの社名、綴りが違うのはご愛敬!)。
店内入って右側が筆記具ゾーンです。定番、新製品、そして個性的なチョイスが光るメインゾーンと呼べる場所です。
廊下と店内を隔てるガラス張りの壁面に、試し書きコーナーがあります。
店内で購入できる消耗筆記具のほとんどが、ここで試し書き可能です。
種類ごとにがさッと入れられたケースをここから取り出し、そのケースごと試し書きコーナーに持っていって心ゆくまで書くことができます。
試し書き用紙はマルマンのMPS680。特筆すべきは、消しゴムの「試し消し」ができることです。
これ、文房具店でも実施しているところって指折り数えるほどしかないのではないでしょうか。
画期的だとすら思えます。
店内入って左側が、文具ゾーンです。
用紙、切るもの、貼るもの、とにかく充実しています。
背の低い木製の壁で仕切られた幼児文具コーナーや、窓側にある幼児楽器コーナーなど、客層(ちいさいお子さんを連れている若いご夫婦がけっこうな率でいらっしゃいました)をよく把握された構成になっています。
で、購入したのがこちら。
左上から時計回りに、
・ソニック ナノピタすべらないリバーシブル直線定規15㎝
・ソニック ナノピタすべらない教科書定規15㎝
・サクラクレパス Arch
・サクラクレパス ラビットJUNKER
・ソニック ナノピタすべらないリバーシブルカッティング定規30cm
・ナカバヤシ サクットカットHIKIGIRI アンチグルー刃+チタンコート
・神戸派計画 CIRO(新版)
・オート 筆ボール1.6mm
・三菱鉛筆 ビジョンエリート0.5mm
小生の理想とする文房具店の条件をことごとく満たした、希有なる場所でした。
ちなみに、小生の考える「入り浸りたい文房具店」の条件はこんな感じです。
1)定番品が過不足なく充実している
2)新製品が的確に入荷している
3)一周したら、見たこともない文房具が発見される
インク、おそるべし。
近所に住んでいたら、毎日通うレベルの店です。
ラビットのJUNKERやArchを定番棚に置いてる店ですよ?
これでkeepを置いていたら完璧100点満点だったのですが……
あ、あと。
商品購入後、店内撮影の許可をもらう際に、レジで「どうぞご自由に撮影してください」とほほえんでくださったレジの女性、本当にありがとうございました。
こういう対応も、文房具ファンの対応に慣れているからですよね。
本当に隙のない、そして心地よいお店です。 -
先週の木曜日、某所で行われた謎の文房具呑み会。
「紹介したい愛用の文房具をお持ちください」なんて最初っから言われてしまっていたので、いつも使っている文房具を鞄に入れて会場に向かったわけですが。
その道すがら小生は、ふとこんなことを考えていました。
「別に特別なネタを仕込む必要はなくて、ただ単に『こいつが現在の相棒です』って言うだけでいいんだよなあ」
実際の会は盛況で、結果として小生の相棒たちをすべて紹介することはできませんでした。
なので、ここでその一部をさらっと記しておこうかな、と。
基本、「何を書くか・何で書くか・何に書くか」の話です。
まずはスケジュール。
筆記具はパイロットのフリクションボール4(替芯を0.38mmに換装/黒は青の予備を入れるので実質3色で運用)。
記入先はコクヨS&Tのジブン手帳。
小生は予定や内容をやたら書いて消すので、スケジュール手帳に関してはフリクションでないと運用は難しいです。この組み合わせは、そう簡単には崩れないと思います。
ジブン手帳の機能の全てを使いこなしているわけではありませんが、それでも記入が日常になると書いていて気持ちがいいものです。
続いて、ライフログ。
ライフログという言葉は嫌いなのですが、ジブン手帳の「LIFE」に記入している自分史はそう呼称せざるを得ないような気がします。
筆記具は三菱鉛筆のユニボールシグノRT1 0.28mm。
記入先はコクヨS&Tのジブン手帳別冊「LIFE」。
この夏、2012年版から使用していた「LIFE」を水没させて以来、記入には耐水性のある筆記具を使おうと心に決めました。
2014年10月現在、最も細く書ける耐水性のあるゲルインキボールペンがシグノRT1であり、ジブン手帳の3.3mm方眼に字を書くのに最も適していると考えています。
ただ、RT1は筆記時のノックノブの遊びが大きく、他の筆記具に較べても筆記時の振動ノイズが大きくカタカタ言うので、そこは好みが分かれる部分ではないかと思っています。
次に、日記。
この日記という言葉も、誤解を招く言葉ですね。
通常概念では「その日の出来事を毎日書くこと」が日記だと思うのですが、小生は毎日という枷を外しています。
その代わり、書くことがあったら一日何ページでも書きます。
その時の「気持ち」「思い」を書くことがメインで、行動や起きたことを事細かに書くことは稀です。
それはジブン手帳のウィークリーでカバーできてしまうからです。
筆記具はパイロットのマルチボール。
記入先はコクヨの測量野帳。
マルチボールが最適だとは思っていません。
書き味はVコーンなどの名品に較べると、決して良くはありませんので。
いま自分の中に「直液式水性ボールペンのブーム」が起きており、ローテーションでいろいろな筆記具を測量野帳の相棒にしています。
ただ、測量野帳も万能ではなく、かなりの直液式水性ボールペンが裏抜けしてしまうので、その中でも定番として使用するものは限られてしまいます。マルチボールもそのひとつです。
これまた愛用するカンミ堂のココフセンやココフセンカードに代表されるフィルム付箋に文字を書きたいとき、手持ちのラインアップではいっさい書けないことがあります。
ただ、フィルム付箋に文字を書くためだけに油性マーカーを持ち歩くことができない場合もあります。その際、ノートや手帳への通常筆記にも使用できて、さらにフィルム付箋にも記入が出来るマルチボールは、本当に重宝する1本です。
次はメモですが、メモはふたつに分類できます。
ひとつは、「とにかく書くことを優先したメモ」。
筆記具はロットリングのティッキーグラフィック0.1。
記入先はジョッターに納まった5×3カードです。
現在運用されている4枚のジョッターにはそれぞれ別メーカーの、異なる罫の引かれた5種類の5×3カードが収納されています。
これを、「気分によって」選択し使用します。
この、気分という点が重要です。
書くことを楽しむことを最重要ポイントに置き、結果的に「面倒くさがって書かない」自分を律し楽しく書ける方向に導くためのシステムになっています。
なので、筆記具も実際にはティッキー一本槍ではありません。
もう一つのメモは、「腰を据えて書く、ノートに近い使い方をするメモ」。
筆記具はパイロットのカスタム透明軸。インキはペンネ19のオリジナル「岳南電車」。
記入先はマルマンのpuo。
これは「万年筆できっちりと文章を書きたい」欲求を満たすためのシステムでもあります。
マルマンの紙の良さは小生が語らずともご存知かとは思うのですが、いわゆるルーズリーフの用紙が本当にいいのです。
puoはスリムサイズの新しい製品ですが、以前からあるルーズリーフも総てMPS800が使用され、万年筆でも滲まず裏抜けしない高性能っぷりを発揮してくれます。
そして、最後は情報の終着駅。旗艦となるノートです。
小生の記入したメモのうち、プロジェクトとして活かされるものは総てここに貼り込まれます。
筆記具は再び、パイロットのフリクションボール4。
記入先はフジカの「文具王ノート」AccessNoteBookです。
現在では仕事用とプライベート用を分冊し、仕事用は会社のデスクに起きっぱなし、プライベート用は自宅のデスクに置きっ放しです。
プロジェクトを形にしないといけない場合、考えるのに時間が足りない場合などは、たまに連れ出すこともあります。
AccessNoteBookは高価な製品ではありますが、旗艦として使用するに相応しい品質と性能を併せ持った「最強ノート」だと思っています。
用紙は特にフリクションでの「消し味」を重視すると言った懲りようです。
仕事でここにいきなり書く場合でも、メモがあってそれを転記したり構想を練ったりする場合でも、小生はフリクションを使います。
心置きなく書くためでもありますし、このノートは「保存用」と決めているので、少しでも保管後の読み返しに支障を来さない程度の綺麗な記載を心がけようという気持ちの表れでもあります。
これらを意識的に、あるいは意識せずに、毎日使用しています。
「使い分けている」ことは事実ですが、実際にルールを設けて運用しているのは最初のジブン手帳関係と、最後のAccessNoteBookだけです。
この中間に位置する「わりとルーズな筆記地帯」こそが、小生の「書く」を支えている部分だと思います。
とにかく、書く。
理由はいいから、書く。
常にどれかは手元に置き、分類云々は後でいいから、書く。
ペンを持ち、紙に書くことを習慣づける。
そしてそれを労苦と感じないようにする。
書くことは楽しいことなのだと理解できるようにする。
そして実際に、喜びを感じる。
生きてるって素晴らしい──それとほぼ同じレヴェルで、「書くって素晴らしい」と思うのです。
だから、小生は今でも「右手の相棒」を追い求めて、文房具店を訪れるのです。
ゴールはまだ、見えません。 -
今日はいいお天気でした。
抜けるような秋空、暑くもなく寒くもない、絶好の行楽日和。
お台場の観覧車の下、ライブハウス「東京カルチャーカルチャー」で開催された、有隣堂主催の「文房具×ビブリオバトル in お台場」に参戦して参りました。
ビブリオバトルとは、簡単に言えば「お薦めの本を5分間で紹介し、全員の投票でチャンプ本を決める催し」です。
今回のテーマは文房具。ということで、ちょっとした因果から、小生も参加と相成ったのでした。
紹介する本は、河内遙の『文房具ワルツ』。
文房具が愛しくなる、そして不器用な人間がまた改めて好きになる、すばらしい漫画作品です。
いちおう5×3カード6枚にメモをまとめ、時間配分なども考慮したのですが、まあ実際にステージに上がって喋るときにはメモなんか見てられないですよね。
結果として2割ほどしかメモ内容は使わなかったわけですが、その思い切りがよかったようです。
出場者6名の中で、会場の投票の結果、『文房具ワルツ』はチャンプ本となりました。
この本の良さ、面白さが僅かでも皆さまに伝わったのだとすれば、大変うれしいことです。
もともとビブリオバトルは勝ち負けを語るものではありません。楽しく語るひとがいて、それを聴いてその本が読みたくなったひとがいる、そこが重要なのだと思っています。
ぜひ皆さまも『文房具ワルツ』、読んでみてください。
第一部がビブリオバトル、第二部が文房具メーカー各社による自社製品プレゼンという、ちょっと変わった催し物でした。
参加された皆さま、ユーストでご覧になった皆さま、お疲れ様でした。ありがとうございました。
そうそう、会場で書いたこの紙が、有隣堂のPOPとしてどこかの店舗で活用されることになるそうです。
見かけたら教えてください。ぜひ店頭を確認したいと思います。
文房具は道具です。
何かを生み出すための道具。
使うのは人間です。
主体は、自分。
便利な道具を駆使して、何かを生み出すのは常に自分なのです。
その手許にある文房具は、きっとあなたに使って欲しいと願っているはずです。
使ってナンボですよね、文房具って。
ぜひ愛してあげてください。 -
つい先日、Twitterでステイショナーの編集長が「二年前のガールという映画で……」と呟かれていて、興味が出ましたのでDVDを取り寄せてみました。
レンタル落ちですが。
2012年5月26日公開の、深川栄洋監督作品『GIRL』です。
原作は奥田英朗の小説『ガール』。
単行本に収められている5編の短編のうち4つのエピソードを抽出し、一本の物語にしています。
なので、主人公と呼べる「ガール」は4名。
大手広告代理店に勤め、30歳を目前にしガーリーである自分に迷いが生じ始める由紀子(香里奈)。
不動産設計会社で課長職に大抜擢されるも、年上の部下と仕事で衝突する聖子(麻生久美子)。
老舗文房具メーカー勤務で、教育すべきイケメン新入社員に惚れてしまう容子(吉瀬美智子)。
シングルマザーで、息子に対して頑張ることだけが生きがいとなった孝子(板谷由夏)。
ここで注目したのは、吉瀬美智子演ずる容子です。
「老舗文房具メーカー」というのはネット上などのあらすじに書かれている素性で、劇中ではそういう言葉はありません。
ただ一階に豪奢で歴史あるロビーを持ち、営業部は狭くごみごみしていて、倉庫が同じ建物の中にある、ということだけが画面から判ります。
営業部に積まれたダンボールに「昭和鉛筆」という架空のメーカーロゴが確認できるのですが、これが彼女の勤めるメーカーの名前なのかどうかは判りません。
倉庫にはキングジム製品が積まれています(エンディングに協力会社としてテロップが入っています)。
ここで新人・和田慎太郎(林遣都)が棚にあるテプラを手に取り「これ、好きです」というシーンがあるのですが、「好き」という言葉を耳元で聴いた容子が妄想モードに突入します。
その後、ふたりは担当店周りを開始します。
最初はB-STOCKモザイクモール港北店。
続いて、三光堂。
そして、井口文華堂。
最後は勝文堂。
和田くん、けっこう受け持ちエリア広いです。
店に和田くんを紹介するたびに容子の妄想がエスカレートしていき、勝文堂では結婚式まで(脳内で)開いてしまいます。
彼女の仕事ぶりとしては、閉店後のレイアウト変更シーンが好きです。容子が陳列のセンスを店員から褒められる場面なのですが、グッときますね。
で、気になったので原作も購入してみたんですね。
Kindleでさくっと。
奥田英朗って初めて読みましたけど、えらく読みやすいですね。受ける理由も判ります。
容子のエピソードは「ひとまわり」というタイトルで収録されています。
大筋は原作通りであることが確認できましたが、撮影に必要と思われる変更が何カ所か発見できました。
特に文房具周りの描写はほとんどが映画のためのディテールアップです。
小説では、正直に言いまして容子や和田くんが文房具メーカーの人間である必然性はありません。「創業者の血族に頭が上がらない」「千葉に工場があり、(和田くんは)そこの独身寮から本社に通っている」など、特定のメーカーもないようです。第一、何を売っているのか説明が皆無です。
こういう重箱の隅つつき系の映画評って嫌われるもののひとつだと思うのですが、映画そのものはストーリーに破綻もなく、実に繊細は描写が折り重ねられて、その中に笑いあり涙ありで視聴後も爽快感が残る良作でした。
まあ、ファイルがみんなキングジムなのと、使われているペンがみんなステッドラーなのが気になるのではありますが(筆記具はステッドラーが提供しています)。 -
この10月6日に販売店舗がリニューアルされた、東京都中央区京橋にある老舗の文房具店、モリイチ。
この店内の二階にこのほど新設されたのが、多目的文房具展示コーナー「八重洲文具室」です。
リニューアル第一弾の展示物は、マグネットコレクターであるマグスターさん所有のマグネットの数々です。
ほぼ毎日あると言われている記念日にかけて、正方形のスペースにマグネットと背景を配置し、そのテーマに沿った内容のセットを作り出す──まさに立体絵画と呼ぶに相応しい展示です。
こちらのマグネット展示、10月6日から20日まで行われています。
午前9時から午後6時までと、周囲のオフィス街に合わせた営業時刻を展開している関係で、リニューアルされてもなかなか遠方の方は訪れる機会がないのではないでしょうか。
そういう方のために、10月10日は通常なら午後6時閉店であるモリイチも8時まで店舗を開け、二階の展示コーナーにトークスペースが設けられました。
司会に納富さん、出演者にマグスターさん、そしてゲストに文具王という豪華な三名でマグネットトークが披露されたのでした。
ゆるーい、不思議な、そして結果として聴いて良かったと思えるトークでした。
観覧した全員にマグネットと文房具のお土産つき、という豪華な仕様も相俟って、たいへん楽しい会でございました。
トーク終了後はリニューアルされた明るく広い店内を見学し、午後8時ちょうどに退店という運びとなりました。
平日、東京駅近くまで足を運ばれましたなら、ちょっと寄ってみていただきたい、新しいコンセプトのお店となっています。
常に変化し、情報を提供し続ける──モリイチと八重洲文具室の展開から目が離せません。
