大学2年の段階でメインのシャープペンシルが「グラフ1000フォープロ」だったのは間違いありません。
それは、当時わたしが大学のサークルで書いていた連載小説で判ります。執筆は1987年5月。ヒロインの山崎里美は文房具マニアという設定で、「少女のシャープペンシルはその華奢な指には似合わない、艶消しブラックの製図用シャープであった」という描写が成されています。この「艶消しブラックの製図用シャープ」こそが、わたしが使っていたフォープロのことなのです。
残念ながら、当時のフォープロは手許にありません。度重なる転居の嵐に巻き込まれてしまったのでしょう。壊れた、という記憶はないので、「なくすなよばかやろう」と当時の自分を叱ってやりたい気分です。
小学生の頃からいろいろなシャープ芯を使ってきましたが、フォープロを愛用するようになってから、シャープ芯もぺんてるに統一しました。
メイン芯はハイポリマーフォープロ。ラインナップに200円芯と300円芯があったら、迷わず300円芯を選択する人間でした。
なので、ハイポリマー100が出た時も「ふーん、200円芯か……」みたいな反応だったのだと思います。高級芯のほうがなめからに、折れにくく、よく書けると信じていました。
実際のところ、なぜ価格が異なるのか、どこが高級たる所以なのかは知りようもなかったのですが、『シャープペンシルのあゆみ』(日本シャープペンシル工業会・刊)にあるJIS(日本産業規格/当時は日本工業規格)S6019-1959「シャープペンシル用シン」には「上級品」と「普通級品」のグレードが掲載されています。フォープロ芯がこの「上級品」にあたるのだとすれば、価格が違っていても納得がいきますし、書き心地も違っていると言えますよね。「折れにくさ」と「摩擦係数の低さ」は、シャープペンシルの書き心地に直結します。
でも、この表なんか間違ってませんか。上級品の細芯(この時代なので0.9ミリ)が曲げ強さ3,000で、普通級品が7,000って。数値が高い方がより強いのだと思うんですけど。
余談ではありますが、さいきんこのハイグレードって製品、あまり見ないですよね。新製品では出ていないはず。JIS S6005-2019「シャープペンシル用芯」にはグレードに関する表記がありませんので、1990年代後半あたりのJISで「上級品」と「普通級品」の区分がなくなった(おそらく総ての芯が高級品レベルになって、価格は普通級品と同じにできるようになった)のではないかと想像しています。あるいはJISとISOを合わせる課程で消滅したのかも……途中のJIS S6019やJIS S6005を図書館とかで探して確認すればどのへんで記載が落ちたのか判るとは思うのですが、ちょっとまだそこまでは手を伸ばせていません。
余談が長すぎました。
当時のわたしはフォープロにフォープロ芯を入れて満足していました。
最高の組み合わせだと信じて使っていました。
実際、ハイポリマー100は同じ硬度表示でも気持ち柔らかく、当時はシャープなラインが好きだったので、硬めでしっかりと書けるフォープロ芯を選択したのでしょう。
大学時代、ノートを取るのはもちろん、漫画研究会に所属し漫画を描く際にもフォープロは大活躍しました。漫研で描く漫画は会誌に載せる漫画でしたので、シャープペンシルはあくまで下書き。ですから、筆線は濃くなくても良く、むしろシャープな線を引けて、芯が折れにくく、消しゴムで消しやすいことを重視していました。
ハイポリマー100の後に登場したハイポリマー120も試したのですが、これはめっちゃ硬くて同じ硬度とは思えないくらい薄く感じました。硬度を一段階間違えたかのような色合いで、しかも当時は現在に較べわたしの筆圧も高かったので、書いた線に沿って紙が凹んでしまい、ペン入れの時に具合が良くなかったのです。パッケージの面白さに惹かれて買ってはみたものの、好みに合わずメイン使用には至りませんでした。
いま改めて各製品を入手して書いてみると、フォープロ芯よりハイポリマー100のほうが圧倒的に柔らかくてなめらかに書けますね。なんだこれ。今なら間違いなくハイポリマー100選びますねわたし。もう下書きとかしないし。
フォープロ芯は硬めで「なるほどこれは折れないや」って感じ。今なら、いちだん濃い硬度を選びたくなります。
ハイポリマー120は記憶通り、めっちゃ硬くてめっちゃ薄い。これだけ、筆記音が「かりかり」に近いです。ピーキーな芯だなあ。芯じたいが折れないことに生命を燃やす時代だったんですね。まさか将来、シャープペンシル本体側で折れない機能を搭載できるようになるとは思っていなかったんでしょうね。
フォープロ芯の想い出を語ろうと始めたのに、実はハイポリマー100が超優秀芯だったって話に……頑なにフォープロ芯を使い続けていた若いわたしの立場は……。
※ ※ ※
ここからは宣伝です。
わたしの冠番組『他故となおみのブンボーグ大作戦!』が来たる10月4日(日曜日)より始まります。
放送されるFM OZEはコミュニティFMではありますが、インターネットを介して全世界で聴取が可能です。
その11月度放送で、ゲストにぺんてるの田島課長と菊池課長をお迎えし、現在noteで絶賛連載中の「シャープペン研究会」とシャープペンシルまわりの話題をお伺いする予定です。
番組では、ぺんてるのお二方にメッセージを募集しております。シャープペンシルの話題だけでなく、ぺんてるには様々な製品があります。今使っているもののお話、これから欲しい製品のお話、また今回のわたしの記事のような懐かしい想い出の話……何でも結構です。番組ホームページにメッセージフォームがありますので、そちらからご応募をお願い致します。
募集の〆切は、2020年10月10日午前6時までです。募集は終了しました。
奮ってご参加下さいますよう宜しくお願い申し上げます。
それは、当時わたしが大学のサークルで書いていた連載小説で判ります。執筆は1987年5月。ヒロインの山崎里美は文房具マニアという設定で、「少女のシャープペンシルはその華奢な指には似合わない、艶消しブラックの製図用シャープであった」という描写が成されています。この「艶消しブラックの製図用シャープ」こそが、わたしが使っていたフォープロのことなのです。
残念ながら、当時のフォープロは手許にありません。度重なる転居の嵐に巻き込まれてしまったのでしょう。壊れた、という記憶はないので、「なくすなよばかやろう」と当時の自分を叱ってやりたい気分です。
小学生の頃からいろいろなシャープ芯を使ってきましたが、フォープロを愛用するようになってから、シャープ芯もぺんてるに統一しました。
メイン芯はハイポリマーフォープロ。ラインナップに200円芯と300円芯があったら、迷わず300円芯を選択する人間でした。
なので、ハイポリマー100が出た時も「ふーん、200円芯か……」みたいな反応だったのだと思います。高級芯のほうがなめからに、折れにくく、よく書けると信じていました。
実際のところ、なぜ価格が異なるのか、どこが高級たる所以なのかは知りようもなかったのですが、『シャープペンシルのあゆみ』(日本シャープペンシル工業会・刊)にあるJIS(日本産業規格/当時は日本工業規格)S6019-1959「シャープペンシル用シン」には「上級品」と「普通級品」のグレードが掲載されています。フォープロ芯がこの「上級品」にあたるのだとすれば、価格が違っていても納得がいきますし、書き心地も違っていると言えますよね。「折れにくさ」と「摩擦係数の低さ」は、シャープペンシルの書き心地に直結します。
でも、この表なんか間違ってませんか。上級品の細芯(この時代なので0.9ミリ)が曲げ強さ3,000で、普通級品が7,000って。数値が高い方がより強いのだと思うんですけど。
余談ではありますが、さいきんこのハイグレードって製品、あまり見ないですよね。新製品では出ていないはず。JIS S6005-2019「シャープペンシル用芯」にはグレードに関する表記がありませんので、1990年代後半あたりのJISで「上級品」と「普通級品」の区分がなくなった(おそらく総ての芯が高級品レベルになって、価格は普通級品と同じにできるようになった)のではないかと想像しています。あるいはJISとISOを合わせる課程で消滅したのかも……途中のJIS S6019やJIS S6005を図書館とかで探して確認すればどのへんで記載が落ちたのか判るとは思うのですが、ちょっとまだそこまでは手を伸ばせていません。
余談が長すぎました。
当時のわたしはフォープロにフォープロ芯を入れて満足していました。
最高の組み合わせだと信じて使っていました。
実際、ハイポリマー100は同じ硬度表示でも気持ち柔らかく、当時はシャープなラインが好きだったので、硬めでしっかりと書けるフォープロ芯を選択したのでしょう。
大学時代、ノートを取るのはもちろん、漫画研究会に所属し漫画を描く際にもフォープロは大活躍しました。漫研で描く漫画は会誌に載せる漫画でしたので、シャープペンシルはあくまで下書き。ですから、筆線は濃くなくても良く、むしろシャープな線を引けて、芯が折れにくく、消しゴムで消しやすいことを重視していました。
ハイポリマー100の後に登場したハイポリマー120も試したのですが、これはめっちゃ硬くて同じ硬度とは思えないくらい薄く感じました。硬度を一段階間違えたかのような色合いで、しかも当時は現在に較べわたしの筆圧も高かったので、書いた線に沿って紙が凹んでしまい、ペン入れの時に具合が良くなかったのです。パッケージの面白さに惹かれて買ってはみたものの、好みに合わずメイン使用には至りませんでした。
いま改めて各製品を入手して書いてみると、フォープロ芯よりハイポリマー100のほうが圧倒的に柔らかくてなめらかに書けますね。なんだこれ。今なら間違いなくハイポリマー100選びますねわたし。もう下書きとかしないし。
フォープロ芯は硬めで「なるほどこれは折れないや」って感じ。今なら、いちだん濃い硬度を選びたくなります。
ハイポリマー120は記憶通り、めっちゃ硬くてめっちゃ薄い。これだけ、筆記音が「かりかり」に近いです。ピーキーな芯だなあ。芯じたいが折れないことに生命を燃やす時代だったんですね。まさか将来、シャープペンシル本体側で折れない機能を搭載できるようになるとは思っていなかったんでしょうね。
フォープロ芯の想い出を語ろうと始めたのに、実はハイポリマー100が超優秀芯だったって話に……頑なにフォープロ芯を使い続けていた若いわたしの立場は……。
※ ※ ※
ここからは宣伝です。
わたしの冠番組『他故となおみのブンボーグ大作戦!』が来たる10月4日(日曜日)より始まります。
放送されるFM OZEはコミュニティFMではありますが、インターネットを介して全世界で聴取が可能です。
その11月度放送で、ゲストにぺんてるの田島課長と菊池課長をお迎えし、現在noteで絶賛連載中の「シャープペン研究会」とシャープペンシルまわりの話題をお伺いする予定です。
番組では、ぺんてるのお二方にメッセージを募集しております。シャープペンシルの話題だけでなく、ぺんてるには様々な製品があります。今使っているもののお話、これから欲しい製品のお話、また今回のわたしの記事のような懐かしい想い出の話……何でも結構です。番組ホームページにメッセージフォームがありますので、そちらからご応募をお願い致します。
募集の〆切は、2020年10月10日午前6時までです。募集は終了しました。
奮ってご参加下さいますよう宜しくお願い申し上げます。
コメント