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結局、WEZZY用に書いて送った原稿のうち、未掲載は6本になりました。
供養のために、ここに週一くらいのペースで掲載していこうかなと思っております。
その間に新作も書けたらいいなあ。
今でも土日のいずれかは原稿書く気まんまんでいます。習慣って恐ろしいですね。
せっかくついた習慣ですから、なくさないように研ぎ澄ませていきたいものです。
では未掲載原稿第一弾。
ライフの『クレシャ』です。
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いまお手元にある手帳やノートに、不満はありますか。
ノートのようにたくさん書きたいけど、手帳は小さすぎて不便だ。本当はページ数の多いノートがいいんだけど、それらは皆大きくて重くて持ち運びに不便だ。
手帳は小さくて持ち運びにいいんだけど、分厚いものが多くポケットやバッグにうまく収まらない。綴じ手帳は平らに開いてくれないので書きにくい。
これらの「手帳でもない、ノートでもない、自分に最適の〈書かれるもの〉」を発見するのって難しいですよね。
今回ご紹介するライフの「クレシャ」は、そんな手帳とノートのいいとこどりをした、使い勝手のいいノートです。
サイズは2種類あります。A5判変形と、B6版変形です。
A5版は、A4コピー用紙を半分にした大きさです。正寸は縦210mm×横148mmですが、クレシャでは横幅がスリムになっています。縦は変わらず210mmですが、横は128mmと、幅が20mm狭いのです。
B6版というと、学習用ノートは今でもB5版が主流ですから、その半分ですね。縦182mm×横128mmですが、クレシャではこちらも横方向がスリムになっています。縦が182mm、横が105mmで、やはり幅が20mm狭いです。
このスリム化には意味があります。手で持った際に収まりの良い幅を検討した結果なのです。また持ち運びに便利なように考慮されており、A5スリムはジャケットの内ポケットに、B6スリムはズボンの尻ポケットに入る大きさになっています。
表紙は紙クロスを使用し、見た目以上に丈夫です。紙クロスは上製本などの表紙に使われる、樹脂を塗って染み込ませた紙のことで、汚れに強く頑丈なので、常に持ち出して使用しても表紙の汚損を気にする必要がありません。
中の紙は、ライフのオリジナルノート用紙である高級紙、Lライティングペーパーが採用されています。この紙は書き心地、触り心地、そして色調に至るまで、徹底してメーカーがこだわり抜いたもので、そのさらさらとした書き心地はありとあらゆる筆記具を受け止め、最高の筆記体験を保証してくれます。
わたしはこのLライティングペーパーという紙が大好きで、ライフのノートはこの紙が使われていることを確かめてから購入するほどです。平滑度が高く、それでいて適度な摩擦があって、鉛筆やシャープペンシルで書いてもたいへん気持ちがいいです。どばどば出る万年筆や水性ボールペン、蛍光ペンでもにじまず、またインクが裏抜けすることもありません。
Lライティングペーパーの証である簾目レイド模様が美しいですね。レイド模様はその規則的な模様が光の反射を軽減するため、長時間筆記使用された場合のユーザーの目の負担を和らげる効果もあります。
用紙色はホワイトです。キンキンに反射する白ではなく、目に優しい柔らかな色調です。罫線はA5変形、B6変形とも無地、5mm罫線、5mm方眼の3種類。
5mm罫線と5mm方眼は、ともにドットでできた薄いグレーの罫線で、存在感が希薄になるようデザインされています。また罫線をドットにしたことにより、万年筆などの水性染料インクで書かれた文字を弾きにくくなっています。
ページ数は108ページと、一般的なノートに較べ倍以上あります。綴じ方は糸綴じで、用紙をぺたっとフラットに開いて書くことができます。
クレシャの糸綴じ製本には、「糸綴じ分け折り製本」という名前がついています。一般的なノートの糸綴じとは異なり、表表紙と裏表紙を一度切り離し、28枚(56ページ)と26枚(52ページ)に分けられた2冊の本文といっしょにミシンで綴じる方法を言います。これによって、永く使っても壊れにくい堅牢なノートに仕上げることができるのです。
この108ページというページ数が絶妙で、ノートとしても手帳としても分厚くなりすぎず、それでいてたっぷり書ける安心感が嬉しいです。糸綴じされた2冊の本文が同じ枚数でないことの理由は判りませんが、このノートがクレシャ=サンスクリット語で「煩悩」と名づけられたのは、間違いなく総ページ数が108ページだからでしょう。
価格は、A5変形が715円(税込)、B6変形が605円(税込)と、これまたノートと手帳の中間の位置づけです。通常のノートの代わりにたっぷり書きたいならA5変形、持ち運びやすさならB6変形がお薦めです。
携帯しやすく、丈夫で、書いていてとても気持ちのいいノート──それがクレシャです。ここに貴方の煩悩を総て書き出して、すっきりしてみませんか。あ、煩悩のない方もぜひ! -
ココサスという画期的な付箋が生まれたのは、2013年10月のことでした。
付箋は便利ですよね。例えばノートや本、雑誌などで、あとで参照したいページにちょっと端を出した状態で貼っておく。飛び出した部分にメモを書くのもいいですよね。そして必要があったときに、その飛び出した付箋の端を頼りにそのページを開く。
でも。
開いた先は、広大な情報の海です。
自分で書いたノートなら思い出すことができるかもしれません。でも、ぎっしり文字が詰まった書籍だったり、写真や記事がちりばめられた雑誌だったりしたとき、そのページのどこが「付箋を貼ってまでして後に参照したかった情報」なのか、すぐに判りますか。
それが自分が貼ったものではなく、例えば他の方が指示のつもりで貼った付箋だったとしたら──わたしなら絶望します。
ビバリーのココサスは、そんな情報の不正確な伝達をサポートする画期的な製品でした。
ココサスは裏面に粘着剤のついた紙製の細長い付箋です。その先端は13ミリの部分で切り離すことができるよう、ミシン目が入っています。切り離した後も粘着剤がついていますので、付箋としての機能は残されたままです。
ココサスの分離する先端には、矢印の先や指先、あるいは三角形に切り込まれたデザインが施されています。この先端を情報のすぐ隣に貼り、残された後端をページからややはみ出した状態で上端、あるいは右端や左端に貼ります。
これにより、本や雑誌を閉じた状態では「このページに情報があるよ」とはみ出した付箋が教えてくれ、ページを開くと「このページのここに情報があるよ」と先端部分が教えてくれるのです。
ココサスは便利文房具として、付箋コーナーの一角を占める人気商品となりました。
その後はキャラクターをつけた実用+ファンシー、素材をフィルムにして大胆なカラーリングを施したデザインと、さまざまなバリエーションでファンを喜ばせてきたビバリーですが、ここにきて新機軸の製品を投入してきました。
それが今回ご紹介する「ココサスポップアップ」です。
ココサスポップアップはビビッド、ネオン、フレームの3種類。すべて4カラーで16枚内蔵されています。定価は572円(税込)です。
ビビッドは矢印全体がビビッドカラーに彩られています。カラーはピンク、紫、緑、紺。
ネオンは黒い縁取りの矢印にネオンカラーが映えるデザインです。カラーはピンク、イエロー、グリーン、ブルー。
フレームは白い矢印の周囲にカラーが配置された、中に文字が書きやすいレイアウトです。カラーは赤、オレンジ、黄緑、緑です。
いずれもフィルム素材ですから、ペンを選びます。油性マーカー、油性ボールペン、シャープペンシル、鉛筆は問題ありませんでした。ゲルインクボールペンは書けますが乾きが遅いので、書いてから貼る際には注意が必要です。
本体はカード上に薄くまとまったフィルム製で、一枚引き出すと次の付箋がセットされるポップアップタイプです。他社製品ではよく目にしますが、ココサスとしては初めてのラインアップとなります。
ポップアップ付箋というものは、紙の束になっている付箋と異なり、引っ張って取り出した際に次の付箋の持ち手になる部分をケースからいっしょに連れだし、それから糊剥がれして離脱するアクションが必要になります。ここでミシン目がちぎれてしまっては魅力半減ですが、そこはさすがに永年ココサスを作り続けたビバリーです。付箋を取り出す際にミシン目がちぎれるような心配は無用です。
必要箇所に付箋を貼ったら、先端部分を親指で押さえ、後端を引っ張って抜くようにすると綺麗に切れます。あとは後端を端に出して貼るだけです。
連続して取り出すことができる便利さと、薄型なので手帳やノートにそのまま挟んで持ち歩くことができる便利さ。ココサスポップアップは両方の便利さを持ち合わせています。
ケースの裏面にはクリップパーツがあるのですが、ここにも工夫があります。
大きなクリップパーツで挟むと、ケースの頭がノートや本の端から出ません。
クリップパーツの中に切られている小さなクリップを使うと、cocosasuというロゴのある部分が5ミリほど顔を出します。
お好きな方を選んで引っ掛けてみてください。
使ってみると判るのですが、粘着が弱めです。紙への影響は低そうですが、インデックスに使ったり引っ張ったり何度も貼りつけたりする使用方法では満足がいかないこともあるかもしれません。
日常よく目印として付箋をお使いの方、自分だけでなくほかの方にも付箋で指示をされることが多い方に、ぜひお薦めしたい製品です。 -
さて残念なことに、WEZZYでの連載が終了してしまいました。
結果として納品されなかったこの記事を供養するために、たこぶろぐに掲載してお披露目しようと思っております。
納品済みですが掲載されなかった原稿もありますので、それは最終的に遅延掲載もなかったとはっきりしたら、ここで読んでいただきたいと思っております。
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ゲルインクボールペンのインクは日に日に改良を加えられ、新製品が出るたびに綺麗に、なめらかに、そして発色が良くなっていって、本当に驚かされます。
最近は黒い紙にはっきりと書けるパステルやメタリックカラーのボールペンも増えてきました。すでに一過性のブームではなく、各社とも定番品としてラインナップを拡充してきています。
紙の黒さと筆記線の白さ、その差が大きいほど綺麗に文字が読めるので、過去のペンはみなインクの隠蔽性を上げるため吐出量が多く、はっきり見える分その線は太くなってしまい、小さな文字や精細やイラストを書くには不向きでした。
現在では0.4mmなどの超極細ゲルインクボールペンにも強力な隠蔽力が備わり、一般的な筆記と遜色のない細い線で黒い紙への筆記を楽しむことができるようになりました。
ただ、書くために使う黒い紙って、いったいどこで入手すればいいのでしょうか。特にファンシーに寄らない大人使いのノートやふせんは、どの売り場で入手できるのか判然しないことが多いですよね。
ジュースアップという名の、世界で最も細い0.4mmでパステルカラーとメタリックカラーを実現したゲルインキボールペンを持つパイロットコーポレーションは、この度そういったパステルやメタリックで黒い紙に文字を書きたい大人に向けて、新しいノートシリーズを発売しました。
その名を「クルールフォンセ」と言います。
ラインナップは大別して3種類。
ノートはA4判(定価1,100円)とB5判(定価990円)、そしてB6判(定価770円)の三つの大きさを用意しています。写真はB6版判のものです。
ふせんは104mm×80mmで30枚のワンサイズで、定価は330円。
そしてダイアリー手帳。こちらはB6判ワンサイズで、定価は1,045円です。
クルールフォンセとは、フランス語で「暗い色」。ダークカラーの用紙を使用した製品ならではのネーミングです。同社には「クルール」という油性ボールペンとシャープペンシルをラインナップしていますが、クルールの名を持つ筆記具以外のシリーズは初登場になります。
クルールフォンセの特徴は、紙の「黒さ(濃さ)」が3種類あることです。
真っ黒な紙は、〈クリエイティブブラック〉と呼称されてます。選んだペンによって紙面の華やかさが変わる、変幻自在のベーシックカラーです。
濃い紺色の紙は、〈リラクシングネイビー〉。上品な紺色で、シックな雰囲気がとても落ち着きます。
濃い緑色の紙は、〈アミュージンググリーン〉です。チョークで書く黒板の色に近く、世代によっては懐かしさを醸し出す色なのではないでしょうか。
写真で見るとあまり差がないように感じますが、実際に製品を手にしてみると、それぞれの紙はかなり異なる表情を持った紙であることが判ります。
ノートは判型で3種類、紙の色で3種類あるのですが、実は罫線も違いがあります。A4判は無地のみで、罫線が引かれている製品はありません。B5判とB6判は5mm方眼と5mmドット方眼の2種類から選ぶことができます。
ドット方眼とは、実線ではなくドット(点)が0.5mm間隔で打たれているもので、ラインがないので罫線に邪魔されず大らかに書くことも出来、また水平や垂直にガイドが欲しい場合は仮想直線を思い描きながら書き込むことができる罫のことを言います。
ふせんはノートのようなカバーを開くと、中にまずドット方眼が15枚、間に白い台紙を挟んで、その後に5mm方眼罫が15枚セットされています。ドット方眼を使い切らずに5mm方眼を使うことができますので、その時の気分に合わせて罫線を切り替えて使うことが出来て便利ですね。
ダイアリー手帳は判型こそ一種類ですが、紙の色で3種類、フォーマットで2種類の計6種が用意されています。「1ヶ月ブロック」と呼ばれる、月曜始まりの見開き一ヶ月フォーマットのものと、「見開き2週間」と呼ばれる、片ページ縦方向一週間のフォーマットのものがあります。ダイヤリー内部の方眼は5mm方眼罫で(写真は1ヶ月ブロックのタイプです)それ以降のページは5mm方眼罫のフリーノートです。シンプルな構成ですが、フラットに開くページ、軽量かつ薄型のこのサイズは、携帯するにも日常使いするにもたいへん便利です。
実際に書いてみましょう。使用したペンは、ジュースアップ04のメタリックカラー6色と、ジュースアップ04のパステルカラーから6色です。
どの色も発色良く載っています。
用紙自体はややざらざらした表面なのですが、ジュースアップで書いた感じはなめらかでした。
ゲルインキボールペンの他に、ジュースペイントのような水性マーカーや、カラーイーノシャープのようなカラー芯を入れたシャープペンシルでも綺麗に書けます。大きく書きたいときはジュースペイントで、スケジュールなど消し書きをしたい場合はカラーイーノシャープがいいでしょう。
本製品は、お手元のパステルやメタリックのボールペンを最大限に活かしたい、という方に最適なノートシリーズです。ぜひ店頭でお確かめください。 -
変形。
合体。
子供の頃から大好きでした。
大人になっても、心躍ることがあります。
ミドリのXSシリーズにコンパクトパンチが登場しました。
これがまた見事に「変形」するんですよ。
メタルフレームの部分が多いので、小さいのにずっしりしています。
四角くて重たい、掌に収まるこの感触。
年代によっては、これを思い出しますよね。
黄金戦士ゴールドライタン。
1981年のロボットアニメです。
メカ次元から来た悪の侵略者を倒すため、金属ライターの形で地球にやってきた自立型スーパーロボット。ふだんはポケットに入る大きさですけど、戦闘時にはレインボーロードを経由し、巨大ロボにサイズアップします。
そんなゴールドライタンの頼もしい仲間たち、ライタン軍団。
その中に、文房具がいました。
その名はカッターライタン。
刃物が内蔵されているのではなくて、鉛筆削りです。
ライターモード。
ずっしり思い金属製。
クリスタルカットを施した表面が美しいです。
ロボットモード。
足を引っ張り出すと腕を出すために拳のパーツが浮き上がるギミックが最高です。
鉛筆を挿すのはここ。
想定通り。
削ったら頭を引っこ抜いてカスを捨てます。
ちなみにカッターライタンは『ゴールドライタン』放送終了後の発売となった第二期ラインアップのひとつで、テレビには登場していません。
でも、文房具だから、愛おしい。
(プリントライタンも広義の文房具なので、いつかは欲しいところです) -
いぜん、こんなエントリーをここに載せたことがあります。
2020.0510 【ブンボーグ・メモリーズ】第21回:ルーズリーフディクショナリー(マルマン)
このとき、本文ではなく、イラストでこんな訴えをしておりました。
この、記憶にある薄型金属綴じ具を持つルーズリーフバインダー。
これを求めて、いまも文房具店を回っています。
なにせ情報がありません。
メーカーも判らない、表紙も憶えていない。色も「金具が黒」しか憶えていない(絵では塗っていませんが)。
それに、わたしが中学高校のころと言えば、今からもう40年ちかくむかしです。
ないのは当然、という気もしていました。
そんなある日、趣味の文房具店めぐりで訪れた文具のたまさん。
こちらで、記憶していた形状にかなり近いルーズリーフバインダーを発見したのです。
販売はレイメイ藤井。でも、プラ製です。金属ではありません。
この話題をTwitterに流したところ、見識ある方から「この綴じ具はカネダ技研さんのものだから、カネダ技研さんに薄型金属綴じ具のことを伺ったらいかがですか」とリプがつき。
さっそく問い合わせてみました。
すると、
「弊社はプラスチック製の綴じ具のメーカーです」
とのご親切なご回答が。
しかも、「ただし、それらしいものを他社製品で見たことがある」とお返事いただき、資料倉庫を確認していただくことになりました。
研究用に他社の綴じ具も保管されている中で、薄型金属綴じ具が記憶にあると。
で、頂戴した写真がこちら。
薄型金属綴じ具が金具が写っています。
左はSEDIA(セキセイ)、中央ふたつがKOKUYO。右がカネダ技研のプラバインダー。
わたしは息を呑みました。
この黒と赤の配色は、記憶にある!
わたしが使っていた薄型金属綴じ具のバインダーはコクヨ製だったのか!
メーカーを特定できたので、とりあえずインターネットと友人知人を駆使しての捜索が可能になりました。
そして知人のマニアから連絡が入ります。
それっぽい製品が、過去のカタログにある──!
1987年の製品カタログに載っている、キャンパスヤングと呼ばれる製品群。この右上がそうではないか、と言うのです。
1991年のカタログにもまだ載っていたそうです。
1991年! つい最近じゃないか!←昭和脳
半透明の表紙から透けている黒金具+赤リリースレバーから、恐らく製品はこれで間違いないと思うのです。
ついに辿り着きました。
あとは、これが市中に在庫として残っているかどうかです。
いやあ、何でも諦めないで追い続けると結果が出るものですね。
もちろんこの物語のトゥルーエンドは「製品の入手」ですが、それがたとえ叶わなかったとしても、「知の冒険」としてのストーリーはほぼ完結しました。
こうやって紐解いていく作業が本当に大好きなので、文房具マニアってやめられないんですよね。
新製品をいち早く買って試して悦に入るだけでなく、「本当に気に入ったモノを求める」本質って詰まるところ探究心ですよね。きっと。