-
結局、小生は「自分が知っている過去を思い出して懐かしむ」のが好きなだけで、アンティークに興味があるわけでもないですし、系統立てて歴史を学んでいるわけでもありません。
たいへん狭隘で偏った目でしか世の中を見ることができないのです。
フレフレシャープに対する偏愛も、そういう子供の頃からの記憶に依るものです。
とにかくシャープペンシルは振るもの、振ると芯が出るもの。特に漫画を描き続けている頃は、リズムの取り方も関係していたのでしょう。今でも描いて、しゃっと振って、また描く、というリズムが身に刻み込まれています。
こうしてビートニックを取り出しては描いて、振って、描いてを繰り返していると、「ああ、自分はまったく成長していないのだなあ」と実感できるのです。
シャープペンシルは、それを一番使っていた時代を思い出させてくれるタイムマシンでもあります。
パイロット2020。フレフレの歴史はここから始まりました。
小生はこの初代フレフレを買い求めて使った記憶がありません。
憧れだったのです。憧れて終わったのです。
どこかで入手のチャンスはあったはずです。でも、人に借りて使ってみた記憶はありますが、購入には至っておりませんでした。
なぜ買わなかったのか。なぜなのか。
だから、いま手許に初代フレフレがあることに驚きと共に、愛憎まみれた複雑怪奇な感情を禁じ得ないのです。
いまの小生は幸せ者です。たぶん。きっと。
Vコーンが登場するまで、モノボールは小生の愛すべき右腕でした。
選んで筆記具を買うという行為が楽しくて仕方がなかった、大学生から社会人になりたてのあの頃。
安価なものばかりではありましたが、さまざまな製品を入手し、自分に合う筆記具とは何かを探る日々を過ごしました。
でも、それはやはり児戯だったのではないかと、今では思うのです。
それで、どれだけ文字を書いたか。それで、どれだけ絵を描いたか。
宝の持ち腐れではなかったのか。
過去の自分を呪いつつも、過去は過去でしかないという事実の前に小生は屈するしかないのですよね。
解せないのですが、このパイロットスーパー、替芯が総てゼブラのK芯に換装されています。
何故でしょう。
店頭で差し替えたのだとしたら、パイロットの芯をあえて抜いてゼブラ芯にした理由を、当時の店主に聞きたいものです。
いずれにせよ、1995年製のK芯を入れた12本は、いずれも書けなくなっていました。
結果としてのジャケ買い、です。
困るのは、小生がこういった製品の価値をまるで知らないことでしょう。
定価以上の価値に関心がない、という言い方でご理解頂けますでしょうか。
もちろん綺麗なパッケージで整った体裁が美しい、というのもありますが、むしろ小生はペン先として使う気満々だったりします。
それがつまりは文房具コレクターとブンボーグA(エース)の違いなのでしょうね。
使わないものは買いません。
使えないものを買うことはありますが。
コクヨ製の薄いカッターであるという希少性も購入の決め手のひとつではありましたが、今となってみれば最大の魅力は店主が書いた「高級カッター ステンレス製」のシールの文字です。
実に味わい深い。
劣化が激しいので、パッケージを開けると簡単に壊れてしまいそうです。
先ほどの「使わないものは買わない」と矛盾する物言いになってしまいますが、これはパッケージを開けることができそうにありません。
B5判のレポート用紙はもう使わないと思っていましたが、こういう今ではあまり見かけないデザインのものを見ると我慢ができなくなります。
ツバメノート製のレポート用紙は、紙も緑、罫線も緑。
コクヨ製のレポート用紙は、罫線が薄いブルーの6mmストライプで、コピーするとラインが消えるデザインです。
大学生の頃、やたらレポート用紙を使っていたことを思い出します。
そして、社会人になって、レポート用紙が一気に手許から消えていったこともまた。
三菱鉛筆のBOXYブランドは、小学生高学年だった小生には憧れの的でした。
今と違い、何でも買える、何でも買ってもらえるわけではありませんでした。定番中の定番だったノック式ボールペンですら手に入れることは出来ず、もっぱら黒い消しゴムで我慢していたのを憶えています。
中学生になったときにBOXYのルーズリーフバインダーを買ってもらい、以降高校半ばまで大切に使ったのもいい想い出です。
ただ、このナイフはちっとも憶えてないのです。こんなのあったんだ。
時代は移り変わります。
もう使えなくなってオブジェ化してしまった文房具を欲しがること自体が、ノスタルジーでなくて何だと言うのでしょうか。
固まっちゃって出てこない糊……。
オブジェばんざい。
前言撤回。
使わない文房具も買っていました……。 -
なかなか時間が取れなくてお伺いできなかった、新装された武蔵小金井の中村文具店。
本日、ようやくお伺いすることができました。
かっこいい建物です。
旧中村文具店より、坂道一本分だけ武蔵小金井駅に近づいた、そんなイメージの場所です。
中もかっこいいです。
落ち着ける雰囲気の、実に昭和テイストあふれるお店ですね。
店主の中村さんの笑顔と同じくらいにほっこりできます。
でまあ、商品のこととか最近の文房具業界のこととかお互いのこととかをのんびり語っていたら、あっという間に2時間が経過してしましました。
本当に居心地のいいお店です。
今日は取り置きをお願いしていた商品の受け取りと、あとは店内で目についた「これは買わないとあかんやろ」的な商品を数点購入してまいりました。
まずは取り置きをお願いしていたこれから。
ロットリングのアルトロです。
万年筆が発明される以前の、プレ万年筆とも呼べるスタイログラフィックペン(ペン先に針が仕込んであって、針が押されて引っ込むと中のインキがペン先に出てくる仕組み)の機構を採用したペンです。
1991年の発売当初、小生はこれが大好きで、購入して大喜びで使っていたのです。ボディカラーは黒でした。
ところがある日、何の前触れもなく手許から消失してしまいまして。
それ以降入手も困難で、実に四半世紀に渡って探し求めていたのです。
今改めて書いてみますと、他の筆記具にない不思議な書き味です。つるつるなんですよ。つるつる。
ここからは、店頭で観て惚れ込んだ製品群です。
まずは消しゴムがふたつ。
後ろの長いものが、ラビットの「IDEAL-BO」。
手前の小さい方が、『シルバー仮面』消しゴムです。
「IDEAL-BO」(アイデアルボー、でいいのでしょうか)は真ん中の白いスライダーを操作することで、左右に消しゴムを繰り出すことができます。
透明なケース部分の樹脂は肉厚があり、全体的にけっこうな重量感があります。
実は右の緑の消しゴムと左の青の消しゴムは、スライダーパーツの下の白い部分で繋がっています。一本の同じ消しゴムが三色になっているんですね。
どんなメリットがあるのか、いまひとつはっきりしない製品ですが、今こういう大胆な構造の消しゴムって存在しないので実にグッときます。
『シルバー仮面』消しゴムはもうちょっと雑な作りです。
白い消しゴムとオレンジの消しゴムは明らかに素材が異なり、接着されています。
表面のシルバー仮面はジャイアント(11話以降の巨大化したシルバー仮面)なのに、裏面の宇宙人はチグリス星人(第1話に登場。第1話ではシルバー仮面はジャイアント化しない)なのが不思議です。
販売はばんそうです。そう! あの万創ですよ!
続いては渋いデザインのホッチキス。
プラス10。
もう美しい、の一言です。
ロゴかっこいい!
そして今回の目玉。
コクヨのスケッチブック。
当時たくさんあった「そんなアニメはない表紙」シリーズですね。
いくつかTwitterでマニアの方が上げていたのを見ていて、いつかどこかで手に入れたいと思っておりました。
いったいいくつあるのか知らないのですが、見かけたら入手したいところです。
今回は大漁でした。
そして楽しい話を聞かせて下さった店主の中村さん、本当にありがとうございました。
また時間を作ってお伺い致します。 -
素敵文房具店「たんたん」にて注文してあった、山本健太郎くんのサイン入り『文房具図鑑』が届きました。
予想に反して、個人あての名前が入っています。
なんとたこのイラストまで!
中には健太郎くんのポストカードサイズイラスト「ありがとうカード」や『文房具図鑑』秘話の載った手書きの「TANTAN OMEDETO NEWS」、そして消しゴムが2個。
ひとつは、いま健太郎くんも推している、そして小生もイチ推しのサクラクレパス「アーチ」の新製品ブラックタイプ。
そしてもうひとつは──
なんと!
ミニチュアタイプの『文房具図鑑』!
の、ブック型消しゴム!
これはすばらしい!
たんたんさんのお手紙には「予約第一号の他故さんには、特典としてBook型消しゴムを同封させていただきます」とのことで。
ありがとうございます!
アーチも小生だけブラックタイプにしていただいたようですし(まあ、白はうちに売るほどありますのでこちらも大変うれしいご配慮です)。
こいつは春から縁起がいいわいな!
サイン本、まだ受けつけてます(2016年3月30日現在)。
ぜひたんたんでお買い物を!
楽しいおまけがつくかもよ!? -
動物、何がお好きですか?
よく「犬派? 猫派?」なんて話題にしますよね。
小生は「猫はなびいてくれないので犬派」なのですが、なびいてくれる猫は大好きです。
あとは、実物が、というわけではないのですが、意匠としては蛙と蛸。
蛙ってわりとお好きな方も多いですし、グッズもたくさん出てますよね。
下手すると蛙の方が犬より多いかも、という勢いで。
小生は動物グッズコレクターではないので、犬も猫も蛙も、ただそれだけでは買うことはありません。実用的であったり、あるいは文房具寄りの存在だと思えるものは購入する可能性はありますが。
例えば、こういうのとか。
「ここは俺が引き受けた! お前は逃げろ!」
なんて声が聞こえてきそうなシチュエーションですが、これはバンダイのガシャポン「鳥獣机画」シリーズの蛙です。
スマホスタンド、という説明がついていますが、まあデスクトップマスコットですよね。鳥獣戯画の。
ところが。
蛸となると、出現率ががくんと下がります。
キャラクターグッズもほとんどないですし、文房具寄りの製品など皆無。
蛸の名産地でのグッズや合格便乗商品などにその名が出てくることはありますが、犬猫蛙のように選び放題の状態からはほど遠いものばかり。
そんな中で、ネットの写真で一目惚れして、どうしても入手したかったのが、これです。
「猫に蛸」です。
実に味わい深い。
民芸品に手を出すことはほとんどない小生ですが、これだけは本当に欲しかったのです。
これを並べて保管できるケースと、ケースを並べる場所を早急に確保しないといけません。
蛸好きの皆様にも、そして猫好きに皆様にも安心してお薦めできる逸品です。
文房具とは何の関連もないのですが、これはいい! いいですよ! -
東京は雑司ヶ谷、鬼子母神と大鳥神社にて定期開催されている雑司ヶ谷手創り市。
3月20日も良いお天気の中、様々な創作出展がされておりました。
クラフト系の大好きなムスメ(大学二年生)をデートに誘い、ふたりでくるくると見て回りまして。
で、毎度の如く革小物の工房Qさんにお邪魔をして参りました。
今回の新作は、万年筆を寝かせて置くための革小物「ペンハンモック」です。
簡単なようでいて、実にバランスを考え抜かれた絶妙のカーブ。
張りのある革が適度な硬さと弾力を持って、大型の万年筆もしっかりと受け止めてくれます。
紺色がブルーブラックの如く、落ち着いた佇まいをより効果的に高めています。
万年筆を机上に置く際、定位置を作っておけるというのはすこぶる嬉しいものです。
我が家の数少ない万年筆の中では、写真の旧カスタムレガンスがいちばん似合っているようでしたので、持ち歩きのラインナップから外して自宅用に配置転換です。
持ち歩くものではないかもしれませんが、ちょっと自慢したくなる製品ですね。