たこぶろぐ

ブンボーグA(エース)他故壁氏が、文房具を中心に雑多な趣味を曖昧に語る適当なBlogです。

モノブランドよ、どこへ行く
コンテンツ事業、という商売の形があります。
キャラクターやデザインを引き継ぎ、息の長い商売をしていくための方法のひとつですね。
文房具にも各社、どこにも負けないブランドがあります。
中でも、トンボ鉛筆の「モノ」ブランドは、本体である鉛筆や消しゴムの存在を超えて、確固たる地位を築いているように感じられる素晴らしい存在です。



今回発売されたモノノートモノグラフにも、やはり消しゴムでないのにモノストライプが施されたデザインのものがあります。

モノノートは極細2.5ミリ幅の修正テープです。
まさにモノ消しゴムを象ったような四角いボディで、筆箱のお供として最適なサイズになっています。

モノグラフは振って芯が出るシャープペンシルです。
尾部に回転繰り出し式の大型消しゴムを内蔵し、振る以外で芯を出すときはクリップを押します。クリップを強く戻すとかちっと音がしてロックがかかり、携帯移動時に振られても芯が出ないように工夫されています。

鉛筆や消しゴムのブランドとしての「モノ」から、日本の文房具を代表するブランドとしての「モノ」へ。
このデザインの文房具は安心できる、そしてクールである、と。
モノストライプが出たらとりあえず買っちゃう人、少なからずいると思うんですよね。小生もそんな人間のひとりです。

トンボ鉛筆の「モノ」は、ライバルメーカーである三菱鉛筆の「ユニ」ブランドとは方向性が異なります。
この違いは、たいへん興味深いです。

「ユニ」は、国内では鉛筆のブランドを離れていないように思われます。しかしながら、モノストライプのようにデザインで縛られていないので気づきにくいのですが、現在ほとんどの筆記具に「ユニ」ロゴが入っています。海外では三菱鉛筆の製品はすべて「ユニ」です。三菱鉛筆という社名を知らなくても、ユニブランドはすでに確固たる地位を築いています。
三菱鉛筆=「ユニ」、ですね。

対して「モノ」は、トンボ鉛筆の鉛筆のブランドでありながら、あの青・白・黒のストライプで消しゴムのブランドへとスイッチし、それが加速するあまり、あの柄こそが「モノ」なのだという狭いモノブランドを確立させてしまったような気がしてなりません。
トンボ鉛筆≠「モノ」、モノストライプ≒「モノ」、ですかね。

「ユニ」は、三菱鉛筆が「拡大したい」ブランド。
「モノ」は、トンボ鉛筆が「売りたい」ブランド。

小生にはそんなイメージがあります。
「モノ」の「売りたい」は「手放したい」ではなくて、「もっと売り出したい」という意味で。

ただ、このままいくと、モノストライプをコンテンツとして切り売りし、モノストライプでありながらトンボ製品でないものも続々出てきてしまうのではないでしょうか。
「モノ」はこれからどこに行くのか。
ストライプ柄のファンとしては、その行く末を見守っていきたいと思います。

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コメント

1. 無題

 この話はおもしろいですね。
トンボはその社名を、デザインを変えてしまいましたが社章も使い続けており、これと同じ例にはコクヨ キャンパスがあります。
モノは1970年代?の2mm芯ホルダ、モノホルダーのロゴなどから、当初は鉛筆のブランドとして展開されていたことが窺われ、現在はモノグラフ等の模様から消しゴムのブランドへ変わったことがわかります。
他ブランドとの協業では、アズマおそうじ消しゴムは成功例に思いますし、ブランド展開はうまいんじゃないかと思います。

 いっぽう三菱のユニブランドにも消しゴムやボールペンがあり、近年は社名を代用してすらいるんですけど、やっぱり鉛筆のまま不動なんですよね。製品が支持され続けているからでしょう。

Re:無題

まあ小生の記事は小生が想像したことですので、事実はともあれ筆責は小生にあるのですが、何となくそう思わせるような雰囲気を感じてしまうのですよね。
どこの企業でも楽な企業はないでしょうし、永年蓄積してきたノウハウや商標を守り、活かしていきたいと思うのが当然です。
「三菱鉛筆最大のライバル」とは言いがたくなってしまった感のあるトンボ鉛筆にも、ぜひ頑張ってもらいたいところです。

2. ものすごく今さら

 ものすごく今さらなんですが、これを利用して何かを難じようと目論んでいるわけではありません。

 ドイツの鉛筆について調べていたときCapt`n Sharky/Käpt`n SharkyとPrinzessin Lillifeeという絵本のことを知りました。
Wikipedia.deのシャーキー役リンクをクリックしたら太った中年男性の画像が出てきて、こんなところですら荒らされているのか……と寒々しくなったらその人がシャーキー役声優だったんですけど(日本だったら中年女性の画像が表示されると思う)、そんなことが本題ではなくて、Prinzessin LillifeeがドイツではTVアニメ化映画化されたコンテンツで、十年ほど前に「プリンセス・リリー」として和訳されたものの、日本では定着しなかったようなんです。
 セーラームーンが復活するわプリキュア十周年だわ、この国にはお姫さまとか魔法少女とか美少女戦士とかが溢れるほどいたからなんだろうなって思ってるんですけど、しかし鉛筆業など軽工業は溢れるほど生産してもコンテンツ産業になれない。そして先進国である日本にとって軽工業は衰退分野でしかない。

 それがモノはコンテンツ化してライセンス生産までされてるブランドなんだけど、その核となった消しゴムは自社開発でも自社生産でもなく、製品開発とブランディングが逆転してるじゃん、って侘びしくなるんですが、モレスキンだってそんなかんじで成功しているのだから、製造業でも自社ブランドをコンテンツ化することが後世、逆転した評価を受けるようになるかもしれません。それはまたイメージ戦略が重要になるってことでもあるんですけど。

 トンボほどの知名度が無くモレスキンのような伝説を持たない企業は日本製ブランドを利用することになりますが、それでも新分野開拓とかを要するんだろうと思います。消しゴムに消しゴムはんこがあるように、鉛筆も眉墨とか鉛筆削り大会とか。写生でいいじゃんて思ってますが。

 そういえばパイロットはワコムにDr.グリップのグリップ供給とかしなかったんでしょうか。ロイヤリティ収入も得られるんじゃないかなーって思っていたものです。

Re:ものすごく今さら

いえいえ、こういうのってもちろん実際にはきっちり分析できる要素もあるのでしょうけど、こうして外野がわいわい言うのも楽しいですよね。まあ、あんまり無根拠にネットで語っていると「根も葉もないことを言いふらした」みたいに取られる場合もあるでしょうから、自重しながら……
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