たこぶろぐ

ブンボーグA(エース)他故壁氏が、文房具を中心に雑多な趣味を曖昧に語る適当なBlogです。

水性ボールペンに回帰することはノスタルジーなのか(否! 断じて否!)
きのうの三島ロケハンで寄った文房具店にて、懐かしいMONO BALLを購入しました。



直液式水性ボールペン、MONO BALL。
世の中の書類がまだワープロ化されていなかったころ、公式文書に使える耐水性の筆記具のニーズは現在では考えられないほど高まっていました。

万年筆は姿を消し、水性ボールペンは保存文書に向かず、鉛筆やシャープペンは改竄ができる。
事務に使える筆記具と言えば油性ボールペンしかなかったのですが、油性ボールペンの「書き味の重さ」は、大量の書類作成に支障がありました。21世紀の現在と違い、書類をゼロから手書きすることも多かった時代、頸肩腕障害を始めとする「事務障害」も多く報告されていました。

手書きが苦痛だったそんな時代に、燦然と現れた新型筆記具。
軽い筆圧で濃く滑らかに書けて、そして耐水性耐光性に優れた顔料インキを使用した水性ボールペンが登場したのです。
ゲルインキボールペンが進化し、事務が手書きの時代を終えワープロの時代に入るまでの数年間、耐水性水性ボールペンの時代というものが確かに存在していました。

その頃の懐かしい想い出も重なり、購入したMONO BALL。
まだ本体にバーコードが印刷されていない、というだけで時代が推察できます。なにせ、MONO BALLの発売は1984年から。実に30年前の話です。
シールピールでペン先が守られていたので、ドライアップもなく使用できました。
ただ、書き味が重い。ただ重いのではなく、引っかかりがあってがりがりする感触が指先から伝わってきます。
細かな観察はできていませんが、これはボールが錆びているか、チップが錆びているか、あるいはボールをチップに押しつけているチップ内のスプリングが錆びているかのいずれかではないかと思います。

ペン先を紙面に押しつけると、じわっとインキが紙に吸われて出て行きます。
構造上はボールペンですが、毛細管現象を使用している点では万年筆やサインペンなどと同じ原理で書ける筆記具なのです。
特に軸内に直接液体のインキを封入している「直液式」のものは、出てくる量が違います。まさしく(書き味は異なりますが)万年筆に近しい存在だと感じます。

この「紙にじわっとインキが染み込む」瞬間が大好きなのです。
総ての線を滲みなく精細に記入する「極細書き」を必須の機能として考えると「染み込んで書いた線が拡がる」のはマイナスの状態と言えますが、そんなこたぁどうでもいいんだよ! と叫びたくなるくらい、この染み込む瞬間が大好きです。

なので、小生の中では、筆記具は「用途」+「感情」で峻別されています。

▼「用途」が重要
・細かく滲みなく精細に書けることを信条とする
 →フリクションボール4(0.38mm替芯換装)+AccessNoteBook
・書いて消せることを必須とする
 →フリクションボール4(0.38mm替芯換装)+ジブン手帳
・心地よい書き味を重視する
 →ジュース+測量野帳

▼「感情」が重要
・紙にインキが吸い込まれることを快感として楽しむ
 →万年筆、直液式水性ボールペン+Mead 5×3カード
・香りを楽しむ、書くことの「感触」を味わう
 →鉛筆+クロッキー

で。
いま、自分がどれだけ黒の水性ペンを持っているか(ゲルインキを除いて)ペン栽を立ててみようかと思いまして。



探してみたら、ドローイングペンを中心としたイラスト用筆記具ペンケースを自宅内紛失していることが発覚してしょんぼりしたりorz

で、中でも水性ボールペンだけをチョイスしてみました。



けっこうありますね。もっとも小生は厳密には「ゲルインキでない水性ボールペンだけマニア」じゃないので、世の中の水性ボールペンを網羅しているわけではありませんが。



Meadの5×3カードはたいへんいい感じにインキを吸い込んでくれるので、書いていて気持ちがいいです。
文字が滲むのを許せないタイプの方は、いらいらするかもしれませんが。
ここにない水性ボールペンも、少しずつ店頭で見かけては保護していきたいと思っています。
いいですよね、毛細管現象。皆様もぜひ味わってみて下さい。

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