つい先日、Twitterでステイショナーの編集長が「二年前のガールという映画で……」と呟かれていて、興味が出ましたのでDVDを取り寄せてみました。
レンタル落ちですが。
2012年5月26日公開の、深川栄洋監督作品『GIRL』です。
原作は奥田英朗の小説『ガール』。
単行本に収められている5編の短編のうち4つのエピソードを抽出し、一本の物語にしています。
なので、主人公と呼べる「ガール」は4名。
大手広告代理店に勤め、30歳を目前にしガーリーである自分に迷いが生じ始める由紀子(香里奈)。
不動産設計会社で課長職に大抜擢されるも、年上の部下と仕事で衝突する聖子(麻生久美子)。
老舗文房具メーカー勤務で、教育すべきイケメン新入社員に惚れてしまう容子(吉瀬美智子)。
シングルマザーで、息子に対して頑張ることだけが生きがいとなった孝子(板谷由夏)。
ここで注目したのは、吉瀬美智子演ずる容子です。
「老舗文房具メーカー」というのはネット上などのあらすじに書かれている素性で、劇中ではそういう言葉はありません。
ただ一階に豪奢で歴史あるロビーを持ち、営業部は狭くごみごみしていて、倉庫が同じ建物の中にある、ということだけが画面から判ります。
営業部に積まれたダンボールに「昭和鉛筆」という架空のメーカーロゴが確認できるのですが、これが彼女の勤めるメーカーの名前なのかどうかは判りません。
倉庫にはキングジム製品が積まれています(エンディングに協力会社としてテロップが入っています)。
ここで新人・和田慎太郎(林遣都)が棚にあるテプラを手に取り「これ、好きです」というシーンがあるのですが、「好き」という言葉を耳元で聴いた容子が妄想モードに突入します。
その後、ふたりは担当店周りを開始します。
最初はB-STOCKモザイクモール港北店。
続いて、三光堂。
そして、井口文華堂。
最後は勝文堂。
和田くん、けっこう受け持ちエリア広いです。
店に和田くんを紹介するたびに容子の妄想がエスカレートしていき、勝文堂では結婚式まで(脳内で)開いてしまいます。
彼女の仕事ぶりとしては、閉店後のレイアウト変更シーンが好きです。容子が陳列のセンスを店員から褒められる場面なのですが、グッときますね。
で、気になったので原作も購入してみたんですね。
Kindleでさくっと。
奥田英朗って初めて読みましたけど、えらく読みやすいですね。受ける理由も判ります。
容子のエピソードは「ひとまわり」というタイトルで収録されています。
大筋は原作通りであることが確認できましたが、撮影に必要と思われる変更が何カ所か発見できました。
特に文房具周りの描写はほとんどが映画のためのディテールアップです。
小説では、正直に言いまして容子や和田くんが文房具メーカーの人間である必然性はありません。「創業者の血族に頭が上がらない」「千葉に工場があり、(和田くんは)そこの独身寮から本社に通っている」など、特定のメーカーもないようです。第一、何を売っているのか説明が皆無です。
こういう重箱の隅つつき系の映画評って嫌われるもののひとつだと思うのですが、映画そのものはストーリーに破綻もなく、実に繊細は描写が折り重ねられて、その中に笑いあり涙ありで視聴後も爽快感が残る良作でした。
まあ、ファイルがみんなキングジムなのと、使われているペンがみんなステッドラーなのが気になるのではありますが(筆記具はステッドラーが提供しています)。
レンタル落ちですが。
2012年5月26日公開の、深川栄洋監督作品『GIRL』です。
原作は奥田英朗の小説『ガール』。
単行本に収められている5編の短編のうち4つのエピソードを抽出し、一本の物語にしています。
なので、主人公と呼べる「ガール」は4名。
大手広告代理店に勤め、30歳を目前にしガーリーである自分に迷いが生じ始める由紀子(香里奈)。
不動産設計会社で課長職に大抜擢されるも、年上の部下と仕事で衝突する聖子(麻生久美子)。
老舗文房具メーカー勤務で、教育すべきイケメン新入社員に惚れてしまう容子(吉瀬美智子)。
シングルマザーで、息子に対して頑張ることだけが生きがいとなった孝子(板谷由夏)。
ここで注目したのは、吉瀬美智子演ずる容子です。
「老舗文房具メーカー」というのはネット上などのあらすじに書かれている素性で、劇中ではそういう言葉はありません。
ただ一階に豪奢で歴史あるロビーを持ち、営業部は狭くごみごみしていて、倉庫が同じ建物の中にある、ということだけが画面から判ります。
営業部に積まれたダンボールに「昭和鉛筆」という架空のメーカーロゴが確認できるのですが、これが彼女の勤めるメーカーの名前なのかどうかは判りません。
倉庫にはキングジム製品が積まれています(エンディングに協力会社としてテロップが入っています)。
ここで新人・和田慎太郎(林遣都)が棚にあるテプラを手に取り「これ、好きです」というシーンがあるのですが、「好き」という言葉を耳元で聴いた容子が妄想モードに突入します。
その後、ふたりは担当店周りを開始します。
最初はB-STOCKモザイクモール港北店。
続いて、三光堂。
そして、井口文華堂。
最後は勝文堂。
和田くん、けっこう受け持ちエリア広いです。
店に和田くんを紹介するたびに容子の妄想がエスカレートしていき、勝文堂では結婚式まで(脳内で)開いてしまいます。
彼女の仕事ぶりとしては、閉店後のレイアウト変更シーンが好きです。容子が陳列のセンスを店員から褒められる場面なのですが、グッときますね。
で、気になったので原作も購入してみたんですね。
Kindleでさくっと。
奥田英朗って初めて読みましたけど、えらく読みやすいですね。受ける理由も判ります。
容子のエピソードは「ひとまわり」というタイトルで収録されています。
大筋は原作通りであることが確認できましたが、撮影に必要と思われる変更が何カ所か発見できました。
特に文房具周りの描写はほとんどが映画のためのディテールアップです。
小説では、正直に言いまして容子や和田くんが文房具メーカーの人間である必然性はありません。「創業者の血族に頭が上がらない」「千葉に工場があり、(和田くんは)そこの独身寮から本社に通っている」など、特定のメーカーもないようです。第一、何を売っているのか説明が皆無です。
こういう重箱の隅つつき系の映画評って嫌われるもののひとつだと思うのですが、映画そのものはストーリーに破綻もなく、実に繊細は描写が折り重ねられて、その中に笑いあり涙ありで視聴後も爽快感が残る良作でした。
まあ、ファイルがみんなキングジムなのと、使われているペンがみんなステッドラーなのが気になるのではありますが(筆記具はステッドラーが提供しています)。
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