たこぶろぐ

ブンボーグA(エース)他故壁氏が、文房具を中心に雑多な趣味を曖昧に語る適当なBlogです。

愛機クアトロ89、生産終了
5年前に発売後すぐ自分へのクリスマスプレゼントとして購入し、その使いづらさから「ひとを選ぶ万年筆No.1」と密かに呼んでいたパイロットコーポレーションのクアトロ89。
今年、ついに生産が終了しました。



売れなかったのでしょう。
たいへん癖のある万年筆です。
真四角なボディにオフセットしたペン先と、尋常ならざる重量のキャップ。
握ったときのベストポジションがただ一点に固定されているので、そこを持たない限りうまく書くことができません。
キャップを尾栓につけると後方が圧倒的に重くなり、書きづらいです。
キャップをつけないと軽くなる代わりにかなり短くなります。後ろを持つ癖のあるひとには長さが足りず持ちづらいです。

ボディデザインは貴婦人。
でも、書くときはじゃじゃ馬。
小生は大好きな万年筆で、ひとに会うごとにクアトロ89を勧めて回ったものです。

持ちやすいだけが筆記具ではない。
書きやすいだけが筆記具ではない。
持ちにくい、書きにくいペンでも、その癖を判って慎重に筆を運ぶことで字がうまく書ける、ということもあります。
事実小生は、「落ち着いて、ゆっくりと字を書く」専用の万年筆としてクアトロ89を評価しています。
そういう筆記具があってもいい。

殴り書きを拒否する筆記具。
文字運びに繊細さを要求する筆記具。
焦らない、スローな生き方を提供する筆記具。
そういう、心豊かになる筆記具が一本あると、毎日時間に追われ、ささくれ立った気持ちに違う風を吹き込むことができます。

心のこもった手紙。
心情を吐露する日記。
心境を形にするアイデアメモ。
そういう「気持ち」を出したいときに、万年筆は必ずあなたの力になることでしょう。
人生を共に歩む一本、ぜひ手に取って、いっしょに作り上げてみてください。
小生もクアトロ89と、これからも歩み続けていきます。

拍手[9回]

コメント

コメントを書く