たこぶろぐ

ブンボーグA(エース)他故壁氏が、文房具を中心に雑多な趣味を曖昧に語る適当なBlogです。

フォルカンとわたし
万年筆は生活の一部です。
ひとさまに誇るほどのコレクションは持ち合わせていません。
むしろ、書くことが中心で、希少価値とかデザインがどうとかは度外視です。

他故壁氏の最前線、リムペンスリーブに入っている3本は現在こういうラインアップです。



左に、パイロットのカスタム743万年筆。ペン先はSF。インキはブルーブラック。
右に、同じくパイロットのキャップレスカエデ万年筆。ペン先はF。インキは【紺碧】。
スリーブ閂に入れているものは用途を考えてボールペンにしています。現在はパイロットのアクロドライブ2+1が入っておりますが、思ったよりは使わないので、ここだけはまた変わってしまうかもしれません。

カスタム743は、パイロットの市販品としては最大の15号ペン先を持つ大型万年筆です。排気量でいえば3,000ccクラスの高級サルーン。荒々しく乗ってはいけない、長距離クルーズ能力に長けた優雅な存在と言えます。
キャップレスは逆に、2,000ccクラスの高級スポーツカー。加速性能とハンドリングに優れ、ちょっとした使いっ走りにも活躍できる万能選手です。ただ優雅さ、落ち着きといった精神的な欲求を満たす存在ではありません。

この2本を気分によって使い分けてきた小生ですが、この5月にちょっと思い至るところがあり、カスタム743万年筆のペン先交換をお願いしてきました。

購入時はSFだったのですが、思い切って憧れのFAに。
軟細字から、フォルカンへ!



横割れデザインの独特なフォルカン。
柔らかくしなるそのペン先は、「毛筆のようだ」とも形容されます。
もともと筆圧が高く、万年筆でもガチガチに固い細字を好んで使っていた小生ですが、それでも密かにこのフォルカンには憧れを抱いておりました。
力を入れたら壊れてしまうのではないか。
小さな文字をちまちまぎっしり書くのが好きな小生には、宝の持ち腐れではないのか。

ただ、ここ数年の努力の結果、筆圧はかなり弱くなりました。
万年筆も、軽く、さらさらと力を入れずに書くスタイルがようやく身についたと思います。
今なら──この状態なら、フォルカンに挑戦してもいいのでは?



そして、カスタム743を軟細字からフォルカンにして一ヶ月が経ちました。
フォルカンは今では、小生の生活になくてはならない万年筆になりました。
もう、いつでもどこでも、フォルカンで書きたくて書きたくてたまりません。
フォルカンは柔らかい分、インキ吐出量も多くなります。そして入れているのは、継続してパイロットのブルーブラックです。体感上、この世で最も裏抜けしやすいインキだと思っています。
だから、相棒たる書く相手──紙は選ばざるを得ません。
カ.クリエプレミアムクロス、ジブン手帳IDEA、Thinking Power Notebook “ダビンチ”、ノーブルノートリフィル……裏抜けに強い紙を持つノートが相手でないと、フォルカンを存分に楽しむことができません。

そして──



キャップレスカエデもまた、中字に変更です。
もはや身体が「ペン先は当たりが柔らかくないと!」と言っているかのようです。
ただ、これは、結果としての中字。
キャップレスのペン先はFだろうとMだろうと、決して柔らかくはないのですが……。

フォルカンは決して中字の太さではありません。
むしろ細字に近い、繊細な線が書けるペンです。
ただ、力を入れると柔らかくしなってしまうので、結果としてフローが良くなり、線は太ります。
そういう意味では、コントロールが難しいと感じる方も多いかと思います。
本来、万年筆はペンの自重で文字を書く筆記具です。力を入れない書き方をしても当たりが柔らかい、そういう書き方を楽しむことができるのがフォルカンなのだとご理解いただければと幸いです。

柔らかいペン、ばんざいですよ!

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