たこぶろぐ

ブンボーグA(エース)他故壁氏が、文房具を中心に雑多な趣味を曖昧に語る適当なBlogです。

線の幅が変わる筆記具と変わらない筆記具:パーカー5thとセラミクロン500
小生は、気分や用途によって筆記具を替える性格です。
紙も同じで、筆記具によって、また状況によって、紙質の違うものを使いたいと思うことがよくあります。

登場する機会は決して多くはないのですが、手放せないラインナップとして、ジョッターペンケースに収め毎日持ち歩くようになった、新製品でない筆記具たちがあります。

まずは、パーカー5th“インジェニュイティ”。



以前から興味はあり、店頭での試し書きなどがあればいろいろ書き込んでは「うーむ」と腕組みして去って行った製品です。
こうして実際に使用してみても、正直に言えば「価格に見合った感動」はありません。

この“インジェニュイティ”は定価20,000円(税抜)。
レフィルが1,000円(税抜)。
そして書き味は、ミリペン。ピグマとか、ドローイングペンとか、マルチライナーとか、ああいうポーラスチップの水性ペン。
でも、製図やイラストに使用されるミリペンと異なり、インクのフローはムラがあります。



もう発売されて永いので、いろいろなところで散々レビューされているとは思います。
黒インクはそうでもないかもしれませんが、小生が好んで使っているターコイズブルーでは、「書き始めた行」と「最終行」で明らかに書かれた文字の色が異なります。
リフィル内部でペン先に対するインクの供給が追いついていないのですね。



よくインクを吸う紙でこの状態ですので、インクをあまり吸わない滑らかな用紙を使用すると、「一行目」と「二行目」ですでに色が違ってきます。
ターコイズブルーは使い始めたばかりのため、まだペン先が減ったという実感はありません。でもここから先、どんどんペン先が減って潰れて、線が太くなっていくのでしょうね。

なんだか弱点だらけの製品のように感じられるかもしれません。
でも、他の筆記具にはない味わいがあるのもまた事実です。
「紙にインクが染みていく」様が大好きな小生にとって、パーカー5thはけっこう好きなペンなのです。
ミリペンの多くが水性顔料を使用し、書いても紙に染み込んだ感じがしないのと対照的に、パーカー5thはミリペンの感触なのにインクが紙に染みていきます。かなりたっぷりと。
そこをパーカーは「万年筆的ななにか」と考えているのかもしれません。
あとは、このターコイズブルー(ブルーと言っておきながらかなりグリーン寄り)が、今の小生の気分にぴったりなんです。いい色だなあ。

でも、ペン先が減ったり潰れたりして線が太くなるのは嫌だ。
ただ、インクは紙に染みて行って欲しい。
そういう、万年筆じゃなくて、インクを使うペン。
普段使いで持ち歩くことのできるペン。
この小生のつまらない希望を叶えてくれるのが、ぺんてるのセラミクロン500です。



1980年代の筆記具ですね。もう生産終了して永いので、現在店頭では入手不可能です。
「ブンキョウ・ブングジャム#8」『ぶらりタコ歩き2015』で訪れたシナノヤ文具で購入し、今でも現役で使用しているのですが、これが上記の小生の希望にドンピシャなんですね。



ペン先はセラミックです。
ミリペン構造ですが、フェルトチップではないので減ったり潰れたりせず、最後まで同じ筆記幅を保ちます。
インクは水性染料です。耐水性はありませんが、実に黒々としていて、しかもしっかり紙に染みていきます。

パーカー5thは何でも書く用で、決まった出番があるわけではありません。ですが、セラミクロン500は週に一度かならず活躍する場があります。
月曜日に会社に行き、席について、最初にするのは──その週のToDoを確認することです。
コレクトの5×3カード「C-532補助6ミリ罫 両面」を取り出し、そこにチェック用の□を書き込みます。使用するテンプレートは、ノックスブレインのカードサイズスタイルテンプレートです。このチェックボックス4つが、6ミリ罫線に合うように配置されているのです。
ここにペン先を入れて□を4つ書き、さらにカードをずらしてその下に4つ、□を書き入れます。



このテンプレート、実に重宝しているのですが、金属製のためにボールペンで使うとチップを傷めてインクのぼた落ちを招いてしまいます。
手近にシャープペンシルがあればそれでいいのですが、「枠」ですので、何となく消えない(消せない)ペンがいいなあ、と思っておりまして。
セラミクロン500が手許に来て、チェックボックスを書くことにためらいがなくなりました。本来の製図ペンとしての使用方法だ、と言われてしまえばそれまでなのですが。

実はこのセラミクロン500、一般筆記具としてはあまり書き味がいいほうではありません。
紙によってはかなり引っかかりますし、21世紀に生まれた優れた筆記具たちと較べてしまうのも酷な気がします。
それでも、やっぱりこの感じが好きなので、普段から持ち歩いてチェックボックス以外にも使ってしまうのですよね。

このセラミクロン500については、その思いを短編小説にしております。
だいもんさんの主催する文房具アンソロジー同人誌に収録される予定ですので、また詳細が決まり次第ここでご報告させていただきます。

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