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パイロットからついに折れないシャープが発売されました。
モーグルエアーです。
「モグって折れない。」をキャッチコピーとして、折れないシャープ戦争に真っ向から勝負です。
現行の、「折れない」ことを売りにしたシャープペンシルたち(すいません、このジャンルの元祖たるオレーヌが行方不明で……)。
ぺんてる・オレンズ。
ゼブラ・デルガード。
三菱鉛筆・クルトガパイプスライド。
パイロット・モーグルエアー。
それぞれに個性的な長所があります。
オレンズの武器は、他社にない0.2ミリという強烈に細いシャープ芯。
もともとパイプから出ているだけで折れてしまう0.2ミリ芯をまともに筆記に使うための策として、「パイプをスライドさせ芯の露出を最低限にする」折れない機構=オレンズシステムが必要だったわけです。
デルガードは逆に、「0.5でも折れちゃう高筆圧のひとのための」どうやっても芯が折れないシステム。垂直の力にはユニットが潜って衝撃を吸収、斜めの力にはユニット先端がせり出して芯をガードします。
クルトガパイプスライドは、オレンズ式と呼べるでしょう。「パイプから出てなければ折れないよね」というスタンスで、パイプが伸縮して芯を守り続けます。結果、ワンノックでの筆記距離がぐんと伸びました。
モーグルエアーは、そういう意味ではデルガード式です。
垂直の力にはユニットが潜って衝撃を吸収します。
斜めの力も潜って吸収すればええやん、ということですね。
そしてパイプはスライドしません。
2ノックまでを推奨しているので、他社3種の中ではワンノックの筆記距離が短い、とも言えます。
これをカバーしたのが、パイロットお得意のフレフレ機構です。
振って芯が出るフレフレを内蔵したことで、戻ってノックするよりは速い速度でリズムに乗って芯を出すことができます。
上記4社のメリットを簡単に言うと、こんな感じでしょうか。
・オレンズ:0.2ミリという強烈に細い芯で細かく書きたい方に。パイプに紙が当たっていても気にしない方に。
・デルガード:0.5ミリでも必ず芯が折れるという高筆圧の方に。パイプが紙に当たる瞬間があっても気にしない方に。
・クルトガパイプスライド:0.5ミリでも常に安定した筆記線が欲しい方に。ノック数が少なくたくさん書ける機能が欲しい方に。パイプが紙に当たっていても気にしない方に。
・モーグルエアー:0.5ミリでも必ず芯が折れるという高筆圧の方に。パイプが紙に当たるのが嫌な方に。フレフレ機構が好きな方に。
ここまで書いておいて何なのですが、小生は筆圧を数年かけて矯正した結果、0.3ミリでもほぼ芯折れを起こさないほどに筆圧をコントロールできるようのなりまして。
なので、実はことさら「折れない!」を協調する機能は必要ないのです。
でも、昔むかしの「芯が潜ってクッションが効いていたシャープペン」の感触が好きだったので、こういう機能戦争には決して無関心だったわけではありません。
あと、パイプが紙に当たるの嫌いなんですよね……。
身体にフレフレが染みついている関係から、モーグルエアーの登場は大歓迎です。
ずいぶん使用頻度は少なくなってしまいましたが、それでも今でも絵を描くときは鉛筆かシャープペンが必要な身体です。
今後はペンケースにモーグルエアーを忍ばせておきましょうかね。 -
昭和の終わり頃から平成初期の話です。
大学時代、もっとも通った文房具店がお茶の水にありました。
記憶が確かなら、その名は「御茶ノ水コピーセンター」だったはず。
今はサイゼリヤになっています。
中に入ると、壁の形に名残があります。
レジとキッチンになっている奥の場所は、以前はカウンターになっていて大型コピー機がずらりと並んでいた位置です。
コピーセンターという名前でしたけど、ただコピー機があって学生が勝手に使うタイプではなく、データ出力センターのような作りでコピーを取ってもらう仕組みだったような記憶があります。
小生はここにコピーをしに来たのではなく、入り口からぎっしり並んでいた文房具を求めてやってきていた客なので、実はここでコピーを取ったことはないのです。
そして、ここで買ったとはっきり憶えている文房具が、まだ部屋の棚に刺さったままになっています。
PLUSのラブロです。
A4判4穴、ボディはベルトで固定され、金具は剥き出しという野心的デザインのバインダーです。
チームデミから一気に「文房具界のトレンディスター」となったPLUSは、1980年代後半から1990年代にかけて、実に個性的なデザインの文房具を多数、世に送り出しました。
それがまあ今では樹脂の劣化も激しく。
こういうデザイン文具を四半世紀以上使い続けるとは、バブル時代の日本人は思いも寄らなかったのかもしれません。
開けてみると、クリアファイルに吃驚するようなものが入っておりました。
当時の同人誌の原稿です。
奥付に「平成5年(1993年)8月16日 第一刷発行」と書かれています。
藤田和日郎先生の『うしおととら』ファンブック『青鳥軒2』ですね。
小学館スーパークエスト文庫で『うしおととら』小説版が発売になり、それを当時の小生が作者(城池勝幸=中山文十郎先生)にインタビューしたのです。
懐かしすぎます。
こういうものがさらッと出てくるのがまた恐ろしいですね。
ラブロの発売が1991年。たぶん入手もその年か、遅くとも翌年でしょう。
タイミングは合っています。
きっと、気に入っていたんだと思います。ラブロが。
再生紙のコピー用紙に4穴あけて挟んであるのですが、A4縦4段組の文字スケールが印刷されている紙は今にも枯れ葉のように砕け散るのではないかと思うほどに茶っけております。
バブルをいっしょに越えてきたラブロを使うことは、もうないかもしれません。
4穴開けるの面倒ですし。
でも、それでもなお、捨てるには惜しい想い出が詰まった製品です。
あの時代の匂い。
サイゼリヤにもあった、あの時代の匂い。
日本で一番落ち着くサイゼリヤを見つけました。次はラブロを抱えて行ってみようかと思っています。 -
何でも浜松市にある高級筆記具専門店ブングボックスの2号店が表参道にできたということで、散歩がてらお伺いして参りました。
文房具カフェとは目と鼻の先です。とんかつまい泉の角を素通りすると文房具カフェ、左に入るとブングボックス。そんなイメージでしょうか。
店長さんが浜松と表参道の店を行き来するということで、表参道店は不定期の開業になるようです。
というわけで、鉄の扉を開けて店内へ。
正面にカウンター、右手にインクと万年筆の陳列棚。
窓際には席があり、オリジナルインクの試し書きができます。
エルバンの透明軸万年筆にはインクの名前が貼り出してあります。
棚の一つ目は蓋の開いたインク瓶です。気に入ったインクがあったら、棚から自分で取り出して中味を確認することもできます。
ひとしきり悩んだあげく、これを購入してきました。
納富さんが絶賛されていたツイスビーECOの透明軸と、オリジナルインクは【浜名湖のフレッシュみかん】を。
ツイスビーECOは回転式吸入機構を内蔵した白ペンの万年筆です。
予想通りに硬い書き味で、これはこれで悩まずがしがし使えそうな感じです。
インク瓶をいちどひっくり返し、その後戻して蓋を開けます。
こうすることで内部のインクリザーバに一回分のインクを溜め、吸入しやすい状態にします。
【浜名湖のフレッシュみかん】は綺麗な蜜柑色で、たぶん写真では伝わらないと思うのですが、実に美味しそうな色合いになっています。まさに蜜柑、それも甘くて美味しい三ヶ日みかんの色です。
ここまで美味そうな色合いだとは思わなかったのですが、書いてみて納得です。
この組み合わせで、気兼ねなくがしがし使って行こうかと思います。
この冬は蜜柑色で行こう! -
さて。
新しいpuoバインダを入手し、持ち歩いて使用した数日。
出た結論が、
「厚い」
「ジブン手帳と重ねて持つには持ちにくい」
「ルーズリーフをたくさん入れておくことは(恐らく)ない」
「もっと軽量化したい」
でした。
まあ、確かに測量野帳やLUFTを併用している身としては、この新しいpuoバインダーでも厚いし持ちにくいのは事実でして。
すみませんマルマンさん。
やっぱりこっちで行きます。
キングジムのテフレーヌ《リングノートタイプ》の端を切りそろえて、と。
これで超薄型puoシステムの完成です。
現在ルーズリーフは20枚(未記入)+1枚(記入済)、インデックス5枚、ポケットリーフとA4用紙3つ折りガイドが入っていますが、本当に薄いです。
リングが手に触れないので装着したままで左ページが書ける、裏側に表紙を折り込んで小さくして書けるという、テフレーヌ自体の性能もフルに発揮できます。
ジブン手帳と重ねて持ち運んでも、まったく遜色ありません。
これなら片手で2冊をがしっと持って運ぶことができます。
全く新しいタイプのノートに生まれ変わったpuoテフレーヌ。
こういうことを勝手にできるのもまた文房具の醍醐味です。
A4用紙を三つ折りすれば何でも放り込んでおけるのも強みですね。
これなら永く愛用できそうです。
また一歩、理想に近づいた!