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丈夫で長持ちするので、鞄は基本的に吉田カバンのPORTERシリーズをメインにしてきました。
もちろん、それ以外の鞄も持っていますし使いますが、「永く愛用したい」と考えて大枚をはたくのはPORTERばかりです。
過去、小生の前を通り過ぎていったPORTERたち。
・バイシクル バックパック(中古で買った初めてのPORTER。よくiBookを担いで出かけたものです。7年ほどで太陽光線に負けてぼろぼろになったので廃棄)
・スモーキー ショルダー(AppleStore銀座店オリジナルのPowerBook12inch専用PORTER。どこも悪いところはないのですが、小さい割に重いので現在隠居中)
・タンカー ヒップバッグ(10年使ってバックルが割れ、二度目のジッパーヘッド脱落で引退)
・タンカー 3Way(ThinkAeroが来るまでの通勤鞄。10年使ってジッパーヘッド脱落したので引退)
あれ、そんなにないですね。
あと水色のしましま模様の入った財布を使っていましたが、布の財布はあっという間に汚くなってしまったので(これはPORTERがどうのこうのじゃないかもしれませんが)それ以降は革の財布しか買わなくなってしまいました。
で。
いろいろあって、PORTERから離れノーブランドのリュックを買ってMacBookAirを持ち歩いていたのですが、3年経たずに壊れてしまいまして……なので今回はちょっと奮発して、「仕事でも背負っていける、シンプルで置いてもひっくり返らない工夫のある丈夫な」PORTERを購入致しました。
ステージの2Wayリュックサックです。
背の当たりが柔らかく、背負っただけで「ああ、いいものを買った」と判る鞄です。
側面から上面まで、ほぼ三面がぱくッと開きます。中にはササマチがあって、中味が横にぼろりとこぼれ落ちることはありません。反面、例えばチャックを側面に寄せておき、背負ったままで片腹から中味を取り出そう、というのは無理な構造です。
こいつを気に入った最大の理由は、写真のように自立するからです。
都会ではリュックを背負ったままでいることができない場所がたくさんあります。
特に電車の中。ここはマナー上でも「リュックを下ろせ」と言われてしまう空間。
肩から下ろし、手に持ったままのリュックというものは、たいてい邪魔で重たい存在なのですよね。
地面に、床に置きたいのです。
通勤に使うなら、鞄は出勤した先で最後には床に置きます。
でも、スリムでスマートな薄型リュックサックが好きだと、置いたとき立たないというジレンマに襲われます。
分厚いリュックは立つ、でも背負ったら邪魔です。
薄いリュックは邪魔にならない、でも立たない。
もともと薄くて軽いシステムに憧れる人間なので、分厚いリュックで出勤はしたくない。薄くても立つことを売りにしているリュックはないのか──ググってみて、いくつか候補を絞り、現物を可能な限り見てきました。
そこで最終的に選ばれたのが、このステージだったのです。
信頼を置いているPORTERシリーズで、薄くて、自立する。
ステージの2Wayを買わない理由はどこにもありませんでした。
ただ、ポケットが貧弱なので、使って行くうちに不満が募る可能性もあります。
どうしようかなあ。インナーバッグ使おうかなあ。それともこのまま運用してみようかなあ。
不満が出たら考えようかなあ。 -
銀座五十音というお店をご存知ですか。
銀座にある隠れ家的な文房具店で、以前は「ボールペンとえんぴつの店」と名乗っておりました。
現在は変幻自在の活躍を見せ(あるときはギャラリー、あるときは占いの館、あるときはマッサージ、あるときは……)、「文房具店」とだけ呼称してもその実態をお伝えすることはとても適わないお店になっております。
そこに、素敵な鉛筆補助軸があります。
ミミック(擬態)と名がついた商品です。
アセチロイドという樹脂を削り出して造る、この世に同じ模様がひとつとして存在しない存在。
短くなった鉛筆に活躍の場を与える、まさに大人のための筆記具と呼べる逸品です。
そのミミックに新たなヴァリエーションが出たというので、仕事帰りにいそいそと銀座の裏路地にお邪魔してまいりました。
真ん中が愛用のミミック鉛筆補助軸《ペンギン》。
その上は《ペンギン》のキャップ。
そして、下にある細身の製品が、今回の新しいミミックです。
スティック型の消しゴムです。
ノックで消しゴムが繰り出されます。
リフィルはトンボ鉛筆のモノゼロのものを使います。
細くて持ち運びやすく、そして手に吸いつくような感触のアセチロイドボディ。
実に味わい深いです。
さっそく、ジョッターペンケースに定位置を作りました。
鉛筆が好きで、ミミックで鉛筆を持ち歩くのはいいのですが、消しゴムの携帯ってけっこう難儀なんですよね。
特にこういう、一般的な四角い消しゴムを入れようがないシステムで鉛筆を持ち歩くとき。
スティック型の消しゴムはいくつか持っているのですが、どれもいまひとつデザインが好きになれなくて……ミミック消しゴムは、このジョッターペンケースに来るべくして来た、小生にとって理想のスティック型消しゴムです。
定価は9,800円。
超高級! 万人にはお勧めできない!
でも、小生は大満足です。
さて、後でクリップつけなくちゃ。どっかにあったよなあ、鉛筆補助軸にクリップついたやつが……。 -
万年筆は生活の一部です。
ひとさまに誇るほどのコレクションは持ち合わせていません。
むしろ、書くことが中心で、希少価値とかデザインがどうとかは度外視です。
他故壁氏の最前線、リムペンスリーブに入っている3本は現在こういうラインアップです。
左に、パイロットのカスタム743万年筆。ペン先はSF。インキはブルーブラック。
右に、同じくパイロットのキャップレスカエデ万年筆。ペン先はF。インキは【紺碧】。
スリーブ閂に入れているものは用途を考えてボールペンにしています。現在はパイロットのアクロドライブ2+1が入っておりますが、思ったよりは使わないので、ここだけはまた変わってしまうかもしれません。
カスタム743は、パイロットの市販品としては最大の15号ペン先を持つ大型万年筆です。排気量でいえば3,000ccクラスの高級サルーン。荒々しく乗ってはいけない、長距離クルーズ能力に長けた優雅な存在と言えます。
キャップレスは逆に、2,000ccクラスの高級スポーツカー。加速性能とハンドリングに優れ、ちょっとした使いっ走りにも活躍できる万能選手です。ただ優雅さ、落ち着きといった精神的な欲求を満たす存在ではありません。
この2本を気分によって使い分けてきた小生ですが、この5月にちょっと思い至るところがあり、カスタム743万年筆のペン先交換をお願いしてきました。
購入時はSFだったのですが、思い切って憧れのFAに。
軟細字から、フォルカンへ!
横割れデザインの独特なフォルカン。
柔らかくしなるそのペン先は、「毛筆のようだ」とも形容されます。
もともと筆圧が高く、万年筆でもガチガチに固い細字を好んで使っていた小生ですが、それでも密かにこのフォルカンには憧れを抱いておりました。
力を入れたら壊れてしまうのではないか。
小さな文字をちまちまぎっしり書くのが好きな小生には、宝の持ち腐れではないのか。
ただ、ここ数年の努力の結果、筆圧はかなり弱くなりました。
万年筆も、軽く、さらさらと力を入れずに書くスタイルがようやく身についたと思います。
今なら──この状態なら、フォルカンに挑戦してもいいのでは?
そして、カスタム743を軟細字からフォルカンにして一ヶ月が経ちました。
フォルカンは今では、小生の生活になくてはならない万年筆になりました。
もう、いつでもどこでも、フォルカンで書きたくて書きたくてたまりません。
フォルカンは柔らかい分、インキ吐出量も多くなります。そして入れているのは、継続してパイロットのブルーブラックです。体感上、この世で最も裏抜けしやすいインキだと思っています。
だから、相棒たる書く相手──紙は選ばざるを得ません。
カ.クリエプレミアムクロス、ジブン手帳IDEA、Thinking Power Notebook “ダビンチ”、ノーブルノートリフィル……裏抜けに強い紙を持つノートが相手でないと、フォルカンを存分に楽しむことができません。
そして──
キャップレスカエデもまた、中字に変更です。
もはや身体が「ペン先は当たりが柔らかくないと!」と言っているかのようです。
ただ、これは、結果としての中字。
キャップレスのペン先はFだろうとMだろうと、決して柔らかくはないのですが……。
フォルカンは決して中字の太さではありません。
むしろ細字に近い、繊細な線が書けるペンです。
ただ、力を入れると柔らかくしなってしまうので、結果としてフローが良くなり、線は太ります。
そういう意味では、コントロールが難しいと感じる方も多いかと思います。
本来、万年筆はペンの自重で文字を書く筆記具です。力を入れない書き方をしても当たりが柔らかい、そういう書き方を楽しむことができるのがフォルカンなのだとご理解いただければと幸いです。
柔らかいペン、ばんざいですよ! -
東京都品川区東大井五丁目。
イベント開始から30分後の、午前10時半。
目測が甘かったようです。
外まで人が溢れています。
ここはどこでしょう。
そう、三菱鉛筆の旧本社です。
三年後の立て替えを前に、四月末日をもって移転が完了した旧社屋。
ここを、取り壊し前に解放しようというイベントが開催されていたのです。
「わくわく楽描きイベント!!」と題されたこの会は、旧本社一階部分を解放し、子供たち(3歳から15歳まで)に思いっきり壁や床や窓に落書きをしてもらおう! という太っ腹な企画です。
小生に取ってみれば、旧本社とはいえ、三菱鉛筆の敷地に入ることのできる絶好のチャンスです。
10時に間に合うように来れば良かったですね。
見事に入場制限です。
ようやく敷地内に入りましたが、まだ道程は遠いようです。
工事現場の自動販売機から飲み物を買ってダイノジ(小学4年生)に与えつつ、牛歩の中でひたすら待ちます。
その工事現場にあった書類と筆記具。
さすが、パワータンクです。
外待ち80分でようやく建物内に入ることができました。
さあ、落書きタイムです!
まずは待機小部屋みたいな落書きルームへ。
ダイノジは張り切って壁に「DEATH」って書いてます。
床だって描き放題です。
基本の筆記具はポスカですね。ポンキーペンシルも置いてあったのですが、大きく落書きするならやっぱり太字や極太のポスカがいいようです。
受付に呼ばれ、その後はメイン会場であるロビーで大落書き大会です。
この時点で11時50分。
すでに先客の落書きでいっぱいです。
「すいませんが、制限時間10分でお願いします!」
コールがかかり、子供たちがいっせいにポスカに群がります。
個人的に気に入ったのが、ローパーテーションで仕切られた打ち合わせコーナー。
さすが親子、と言ったところでしょうか。
ダイノジもこの閉鎖空間が気に入ったようで、床にせっせとDeadmau5を描き始めました。
小生もこの枠辺りにちまちまと落書きをしていたのですが、「あと5分!」の声がかかったあたりで大きく描きたい欲求を抑えられなくなりましたよ。
紙ではない場所に思いっきりポスカ極太を走らせるこの快感!
ふだんのちまちました筆記生活とは全く異なる、実に野生解放な瞬間です。
まずは、ロビー左側の壁面にドロカッパ。
受付正面にクロダコ。
中央の柱に自画像。
窓の上に大並真一郎(写真では見切れてますね)。
と、ここでタイムアップです。
受付に戻り、子供たちは記念品をもらう列に並びます。
記念品はアディダスえんぴつでした。
大事に使おうね、ダイノジ!
こんな顔で写ってますけど、楽しかったと本人も言っておりました。
小生の我が儘で文房具関連のイベントに連れ回し、ダイノジも辟易というパターンがなかったとは言いませんが、今回は心から楽しんでくれたようで胸をなで下ろしております。
親子揃って二度とない経験ができて、満足まんぞく! -
2016年4月21日に発売された、株式会社LIFE久々の新製品、マージンノート。
現物を見たい見たいと思いながらも、なかなか普段の巡回コースに製品が入荷されない時期が続きまして。
で、Twitterで「確実に売っていると宣言している、行動範囲内で行くことの出来るお店」を探しておりました。
というか、LIFE製品ならここだろう、というお店への入荷を待っていた、と言うべきでしょうか。
御徒町GOAT。
MADE IN JAPANの文房具を中心にセレクトされた商品が並ぶ文房具店なのですが、その実態はLIFEのノート「NOBLE NOTE」や「KAPPAN NOTE」、カンミ堂の手帳「10min.(テン・ミニッツ)」などのデザインを手がけられているSALCO DESIGNの事務所です。
そう、ここなら必ずマージンノートがあるはず!
というわけで、普段は巡回コースにない御徒町へと向かったのでした。
ありました。Twitterでの宣言通り、3種類のマージンノートがお出迎えです。
サイズはB5判とA5判がありますが、小生は普段使いの大きさであるA5判を購入です。
各ページに赤いマージンラインが引かれています。
ラインの位置は、左端から34mm。
「左端を綺麗に文字詰めしてきっちりと文字を書き込みたい病」の小生には、このマージンラインが実に頼もしく見えます。
用紙はLIFEの特別抄造紙Lライティングペーパーのホワイト。眩しい、という白ではありません。落ち着いた、万年筆での使用にもまったく問題のない上質な用紙です。
これは5mm方眼。
これが6mm横罫。
これが、話題の無地。
「無地なのにマージンラインが引いてある」──この徹底ぶりが実にLIFEらしい、そんな気がしますよね。
80枚綴りですが、20枚綴りのノートを4冊かがる形式で、完全にフラットになるわけではありませんが使い勝手は上々です。
個人的には薄いノートが好きなので、この20枚綴りの薄いマージンノートが出ないかなあ、などと夢想しております。
ノートはいま、「価格」「紙質」「機能」で語られる時代になりました。
安ければいいわけではない。
ただ高級であればいいわけではない。
使う人が使うシーンを脳裏に描きやすい製品が受ける、というのも事実でしょう。
マージンノートで驚いたのは、マージンという「機能」を謳っているように見えながら、実はその「機能」をどう「機能させるか」はユーザーに委ねている、という点です。
中でも無地のマージンノートは、無限の可能性があると思います。これをいかに「機能させるか」──ちょっとした頭の体操に挑戦する気分です。
これもまた、文房具を使うことの醍醐味だと思います。さあ、どう戦うかな?